第9回セキュリティ・フォーラム レポート

 財団法人インターネット協会(IAJapan)セキュリティ研究部会では、第9回セキュリティフォーラムを、2002年1月31日木曜日13:30より、インターネット協会会議室(東京都新宿区)で開催しました。
 昨年4月にいわゆる「IT書面一括法」「電子署名法」が施行され、「サイバー犯罪条約」に調印し、「個人情報保護法」が国会審議されているなど、各企業では電子文書を安全に保管、運用することが求められています。また、ブロードバンド時代をむかえ、コンテンツホルダーにとっては、デジタルコンテンツの不正複製などをいかに防止するかが、重要な課題として浮かび上がってきています。
 そこで今回のセキュリティフォーラムでは、データの不正利用を防止する新しい技術と、法的保護について解説していただきました。


株式会社アークン 渡部 章 氏

 第1部では、「電子コンテンツの不正利用とその対策」と題して、株式会社アークンの渡部章氏にお話をいただきました。
 渡部氏はまず、ウィルスや外部からのシステム侵入などに比べ、企業内部からの情報漏洩や社員貸与パソコンの私的利用による怠慢行為が、より大きな損害を企業に与えているとする調査結果を紹介、一方これら不正行為に対して技術的対策が遅れている点を指摘されました。その上で、企業内の重要文書保護に適用可能なDRM(Digital Rights Management)製品の一つとして「DataLock」を取り上げ、「DataLock」の持つ暗号化機能、データ複製・プリントアウト防止機能、パソコンの私的利用を監視する機能などを、デモをまじえながら詳しく説明していただきました。

資料 『電子コンテンツの不正利用とその対策』(PDF:96KB)

渡部氏


丸橋氏

富士通株式会社[(兼)ニフティ株式会社] 丸橋 透 氏

 第2部は、「技術的コントロールの法的保護」と題して、富士通株式会社 法務・知的財産権本部の丸橋透氏にお話いただきました。
 丸橋氏は、法律関係の専門家として、技術関連の分野で交わされている法律関係の用語の用法が正しくないことも多いという感想を述べられ、できるだけ正しい内容を知ってほしいという問題提起をされました。まず、コピー・コントロールとアクセス・コントロールの違いについて概観し、著作権法と不正競争防止法などの法律を俯瞰できるように説明がありました。特に、無効化行為と無効化装置(プログラム)、及びコピー管理技術とアクセス管理技術のマトリックスで、各々の法律の対応する範囲を示され たのは、本質を判り易く解説したものでした。

資料 『技術的コントロールの法的保護』(PDF:56KB)


 次回(第10回)は、3月14日の開催を予定しています。内容が固まり次第ご案内しますのでご期待ください。



Copyright (C) 2002 Internet Association Japan
インターネット協会事務局
sec@iajapan.org