3-2. 対策

3-2-1. ウイルス対策

 「あなたはワクチンなど、ウイルス対策を実施していますか?」の問いに対して、全体的には「はい、ウイルスソフトを頻繁に更新」と回答した人が67%で最も多く、次に、「はい、ウイルスソフトをときどき更新」と回答した人が19%、「はい、ウイルスソフトを利用しているが更新していない」と回答した人が7%、「いいえ」と回答した人が7%でした(グラフ3-2-1:ウイルス対策における意識状況)。

 これほどウイルス被害が頻発している状況にも関わらず、更新を怠っている人や、未だに対策を実施していない人が多数いることが明らかになりました。近年のウイルスやワームはメールを利用して繁殖し、その感染速度は驚異的です。つまり、ウイルスソフトを頻繁に更新しなければ、ウイルスソフトを利用していないことに等しくなります。従って、「ウイルス対策ソフトを頻繁に更新」と答えた人を除く33%の人たちは十分なウイルスに対する意識と対策がなされていないと言えます。

 ウイルス対策を環境別に集計してみると、会社でのウイルス対策が最も進んでいることがわかりました。97%以上の会社でウイルス対策ソフトを利用されており、73%の会社で「ウイルス対策ソフトを頻繁に更新」しています。次に携帯電話では60%が頻繁に更新しており、「ときどき更新」を含めると86%に及びます。ところが、学校では「ウイルスソフトを利用しているが更新していない」や「いいえ、対策を実施していない」が全体の40%もあり、ウイルス対策の遅れが目立ちます。また、自宅では85%がウイルス対策ソフトを利用しているにも関わらず、僅か53%の人しか「ウイルス対策ソフトを頻繁に更新」するなど正しく対策を実施していないことがわかりました。



(グラフ3-2-1:ウイルス対策における意識状況)

image1



3-2-2. 不正アクセス対策

 「あなたはパーソナルファイアウォールなど不正アクセス対策を実施していますか?」の問いに対して、「はい」と回答した人が49%で最も多く、次に「いいえ、今後利用したい」と回答した人が29%、「いいえ、現在予定無し」と回答した人が17%、「分からない」と回答した人が5%でした。(グラフ3-2-2:不正アクセスにおける対策状況)。

 また、「はい」と「いいえ、今後利用したい」を合わせると78%になり、不正アクセス対策の意識の高さと、パーソナルファイアウォールなど今後の個人向け不正アクセス対策の普及が期待されます。

 環境別に比較すると、会社よりも自宅、自宅よりも学校で不正アクセス対策が遅れていることがわかります。ただし、会社において「いいえ、現在予定無し」と回答した人が20%近くもいることが気になります。これは、会社での不正アクセス対策を管理者に任せっきりにしていることが考えられます。

 

(グラフ3-2-2:不正アクセスにおける対策状況)

image1



3-2-3. ソフトウェア設定による対策

 「あなたはメールソフトやブラウザのセキュリティを意識した設定を実施していますか?」の問いに対して、「はい」と回答した人が72%で最も多く、次に「いいえ、現在予定無し」と回答した人が13%、「いいえ、設定したいが方法を知らない」と回答した人が11%、「分からない」と回答した人が4%でした(グラフ3-2-3:メールソフトやブラウザの設定状況)。

 環境別に見ると、会社より自宅、自宅より学校において、対策が遅れていることがわかります。「いいえ、現在予定無し」と「いいえ、設定したいが方法を知らない」を合わせると24%にもなります。また、携帯電話での対策は一番遅れており、会社、自宅、学校に比べ、一番低い結果となりました。

 会社では、情報システム部の指導の元にソフトウェアの設定についてセキュリティを意識した設定を実施しているケースも多いですが、ネットワーク管理以外のクライアントの設定は個人まかせにしている場合も少なくありません。また、自宅では自分で意識して設定しない限り安全な環境は構築できません。

 メールに添付されたウイルス、HTML形式のメール、危険サイトの閲覧は、コンテンツに含まれる不正プログラムが自動実行して多大な被害を及ぼすことがあります。このような環境下において、会社においても自宅においても、セキュリティを意識した設定になっていない人がまだまだ数多くいるということは、まだまだ一般的にセキュリティに関して意識が低いと言わざるを得ません。

 

(グラフ3-2-3:メールソフトやブラウザの設定状況)

image1



3-2-4. アップデート実施による対策

 「あなたは導入ソフトウェアのセキュリティ対策の為のアップデート(更新)を実施していますか?」の問いに対して、「はい」と回答した人が75%で最も多く、次に「いいえ、現在予定無し」と回答した人が12%、「いいえ、設定したいが方法を知らない」と回答した人が9%、「分からない」と回答した人が3%でした(グラフ3-2-4:導入ソフトウェアのアップデート実施状況)。

 インターネットの利用環境別に見ると、「3-2-3. ソフトウェアの設定」とグラフが酷似しているのが特徴的で、会社より自宅、自宅より学校において対策が遅れていることがわかります。「いいえ、現在予定無し」と回答した人と「いいえ、設定したいが方法を知らない」と回答した人を合わせると22%にもなります。ソフトウェアのアップデートは、ソフトウェアの設定と同様に、重要なセキュリティ対策の1つです。会社では、管理者によってセキュリティを意識したアップデートを実施しているケースも多いようですが、自宅では自分で意識してアップデートしない限り安全な環境は構築できません。また、ソフトウェアベンダーよりも、各ユーザー対しソフトウェアのアップデートの呼びかけを行って欲しいものです。

 

(グラフ3-2-4:導入ソフトウェアのアップデート実施状況)

image1



3-2-5. デジタルID利用による対策

 「あなたは個人のデジタルID(電子証明書)を持っていますか?」の問いに対して、「いいえ、現在予定無し」と回答した人が44%で最も多く、次に「いいえ、今後利用したい」と回答した人が41%、「はい」と回答した人が13%、「分からない」と回答した人が2%でした。(グラフ3-2-5:デジタルID利用による対策)

 今回のサーベイでは、PCを学校で利用している人のサンプリングが2%と少なかったせいか、学校ではデジタルIDによるセキュリティ対策を実施している人が非常に少ないという結果となりました。ただし、全体的には「はい、既に実施している」人と「いいえ、今後利用したい」と回答した人を合わせると54%となり、過半数を超える人がデジタルIDに興味を持っており、今後の普及が期待できそうです。



(グラフ3-2-5:デジタルID利用による対策)

image1


3. 調査集計結果に戻る

トップページに戻る


Copyright (C) 2002 Internet Association Japan