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最終更新日:2000-11-08
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第1回 製品紹介セミナー レポート
「Perspective Ver3.0」

遠藤氏 講師:遠藤明彦氏(株式会社エヌ・ケー・エクサ)
[資料(HTML) 資料(ZIP:2193KB)]
 「Perspective Ver.3.0」(以下、Perspective)は、Java2をベースに構築されたパーススケッチ自動3次元化ツールである。「パーススケッチ自動3次元化」とは、ユーザーが作成した2次元スケッチから3次元モデリングを自動的に行なえるということである。つまり、複雑な3次元モデリングについての知識が一切不要で、よりプレゼンテーション効果の高い3次元イメージの作成が手軽にできるのである。2次元スケッチの作成自体は、Illustratorライクなインターンフェイスによって手軽に行なえ、発想からプレゼンテーションまでの時間が大幅に短縮できる点で、製造業における製品企画をはじめとした多様なユーザーに、このPerspectiveが大きなメリットをもたらしてくれることは容易に想像できる。講師の遠藤氏は、こうしたPerspectiveの特徴を「ラフだけどきっちり」という言葉で表現した。ちなみにこの製品は、昨年11月に行なわれた「Javaに関する技術・応用・表現大賞 '99」において、そのユニークな発想と完成度の高さが高く評価され、応用部門の準大賞に輝いたという実績を持つ。

 Perspectiveは、当初はIPAからの受託により開発が開始されたのもので、その開発期間は96年4月から98年3月であった。その後、98年4月よりエヌ・ケー・エクサの製品としての開発が開始され、2000年9月にVer.3.0の開発が終了している。現バージョンでは、クラス数2300強を有する開発規模となっている。

 ところで、PerspectiveにおいてJavaが採用された理由についてだが、遠藤氏はいくつかの点をあげてその経緯を紹介した。まず、Javaが純粋なオブジェクト指向言語であり、オブジェクト指向開発のもたらす様々なメリットを享受できるということ。そして、言語仕様が簡単であり、早期の修得が可能であること。あるいは、Javaのマルチプラットフォーム対応によってWindows、Mac環境など、商品として幅広いターゲットが得られること。また、実用面についてはすでにJDK 1.1の段階で問題なしと判断し、SwingやJava2D、高速VMといった環境の整備により、今後さらなる進展が予想できると考えたとのことである。

 一方、Perspectiveを開発した背景だが、一般に製造業における製品開発は、企画・デザイン、設計、製造という工程を踏む。ここで開発の初期段階、具体的には企画・デザインの段階でいち早くデータを3次元化し、設計段階へと進めていく、つまりシームレスなデジタル化をはかることは非常に有効であり、そうした利用局面をサポートするツールとしてPerspectiveが位置づけられたということある。

デモ画像 以降セッションでは、自動車の画像を扱うデモンストレーションを交えて、Perspectiveの具体的な機能、および操作の流れが紹介された。まず、下絵となる画像を読み込んで、装備された作図ツールを用いて輪郭を描く。このとき、ビューを自動推定するという便利な機能も搭載されており、作図に際してダイナミックにビューを切り替えていくことも可能である。そして遠藤氏は、作成した2次元画像から3次元化を実行し、カーブを調整、あるいはサーフェスの変換、シェーディングといった一連を操作を実演した。とりわけ、その精度とパフォーマンスの高さ、操作の容易さは印象的だった。

 その後、遠藤氏からはPerspective自体の開発の流れが紹介された。それによると、まず市場要求調査によってユーザーのもつ要件が発掘され、それに基づいて、ユースケース、シナリオ、クラス図を用いた分析、MVCモデルとパターンを用いた設計が行なわれた。その後、Java言語による実装を行ない、ユースケース、シナリオによるテストケースの抽出を行なったという。これらの説明にあたって遠藤氏は、開発において実際に用いられたQFDのシートやクラス図、ユースケース図、カテゴリー図などを参加者に示した。

 最後に遠藤氏からは、マルチプラットフォーム対応やさらなる性能強化など、Perspectiveにおける今後の課題がいくつかの点について紹介された。

 以上のよう、今回の遠藤氏のセッションは、具体的な製品開発にあたっての様々なトピックを盛り込むなど、単に製品の機能や優位性のみを主張することに終始する一般的な商品紹介セミナーとは一線を画する内容を持つものであった。そうした意味からも、参加者にとっては、非常に印象深いセッションとなったはずだ。


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