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最終更新日:2001-02-01
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JJJMP Vol.1 レポート
「Jini Printing System
〜印刷という機能から見たJini〜」

大西氏 講師:大西丈治氏(セイコーエプソン株式会社)
[資料(PDF: 2799KB)]
 いうまでもなく「Jini」は、新世代のコンピューティングを展望するうえで非常に重要な技術として各方面から熱い注目を浴びている。この日2つめのセッションでは、プリンタ機器における世界有数のメーカーであるセイコーエプソンの大西氏によって、同社が印刷という局面からJiniをどのように捉えているのかが紹介された。

 通常、あるプリンタを利用するためには、プリンタの機種ごとにドライバのインストールが必要であり、またドライバをインストールするたびに各種設定作業が必要となってしまうなど、ユーザーがプリンタを利用するに際して、さまざまな作業的負担やそれにまつわる知識が要求されてしまうことを、従来よりエプソンでは現在のプリンタ利用についての大きな問題点として捉えていた。つまり同社にとってJiniは、こうした問題点を解消するためのキーとなるテクノロジーとして登場してきたということになる。具体的には、Jiniを利用することで、機器を接続するだけでデバイスドライバ等のインストールや煩雑な設定作業が不要となるわけだ。

 大西氏はこのあたりの事情を「以前は、期待する印刷結果があって、まずそのためのプリンタを探したうえで、さらに設定を行なうといった作業が必要だったが、Jiniでは条件を指定するだけでLookupからサービスが探し出され、期待する印刷物が得られることになる」と表現する。つまり、Jiniのメカニズムによって、各種印刷サービスについての属性情報(Attribute)をサービスオブジェクトとともにLookup Serviceに登録し、これをクライアント側で検索情報として選択的に利用できることになるというわけだ。こうした仕組みの具体例としてセッションでは、エプソンがJavaOne '99において行なったデモの詳細が紹介された。

 さて、こうしたJiniを用いた印刷環境について大西氏は、すでに固定的なシステム環境が確立しているオフィスよりも、むしろモバイル環境での利用に大きな可能性を感じているということで、エプソンでもその方面を中心に注力していくことになるという。こうした利用側面の具体例として、同社がJavaOne 2000で行なった、シャープのザウルスを用いた、モバイル、ワイヤレス環境でのJiniの利用についてのデモの概要が紹介された。

 また、エプソンではJiniに関して、JavaOne '99/2000でのデモシステムの構築に加え、プリンタ機器についての共通インターフェイスの策定にも同時に取り組んできた。1999年2月の段階でエプソンとしてのドラフトがすでに提出され、その後Jini Printing Working Group(JPGWG)の設立を経て、2000年5月にはJini PritServiceのドラフト初版が発行されている。大西氏からは、Docオブジェクトの生成、Jini PrintServiceに登録されているサービスオブジェクトの取得、PrintRequestオブジェクトの生成、印刷要求の発行といった、一連のJini PrintService利用についての基本的な流れ、あるいは用紙サイズや印刷方向といった印刷結果についてや、設置場所やメーカーなどプリンタ機器についての条件を設定しての利用方法がサンプルコードを交えて具体的に紹介された。

 最後に大西氏は、Jiniのアーキテクチャにおける各種デバイスのリソースに対する配慮の不足を指摘するとともに、ネットワーク内のパソコン等をプロクシとして利用するといった対処案も含め、デバイスメーカーや個人に対し、広範な分野でのJiniビジネスへの参入を呼びかけてセッションを締めくくった。


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