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最終更新日:2000-11-14
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IAJ JavaTM部会 第1回 岡山セミナー レポート
「Java 分散オブジェクト技術 HORB」

大西氏 講師:大西荘一氏(岡山理科大学 総合情報学部 数理情報学科)
[資料(PPT: 1760KB) zip圧縮済資料(ZIP: 1582KB)]
 最後のセッションを担当するのは、岡山理科大学の大西荘一氏である。氏は、 岡山理科大学内に HORB 研究会を発足させ、日々研究に励んでおられるという。 大西氏の題材は、HORB であり、HORB の使用例として「手話学習システム(*1)」を取り上げ、話を進めていった。 実は、氏のご要望により、Java や分散オブジェクトに関するアンケートを出席者の方々にお配りさせていただいた。 氏のセッションの最初で、アンケートの集計結果が紹介された。ここでは詳細は割愛させていただくが、集計結果自体はセミナー資料の一部として公開されているのでそちらをご参照いただきたい。

 アンケートの集計結果の紹介を行った後、大西氏は HORB の主要な機能と特徴について説明した。 その中で、「HORB の最大の特徴は簡単に使うことができるということである」と述べた。この点は HORB と RMI 等の他の分散オブジェクト技術の比較で語られる場合が多い点である。

 次に、大西氏は HORB と RMI での設計工数の比較について話を進めた。「手話学習システム」は、もともとアニメーションデータも含めて単一の Java アプレットとして実装されていた。 それを、アニメーションデータ部分を切り離してサーバー側に移し、 アプレットとサーバーの間の通信に分散オブジェクト技術を適用したとのことである。大西氏はこの改造を例にとって、HORB と RMIでの工数の比較を紹介した。 それによると、HORB を使った場合の改造ステップ数は追加が 9 ステップ、変更が 2 ステップであるのに対し、RMI の場合は追加 31 ステップ、 変更が 3 ステップを要したとのことである。 RMI の方が3 倍程度の工数がかかっている。 この差について大西氏は「その差は大規模なシステムでは誤差に入ってしまうように見えるが、 分散オブジェクト技術の理解と設計に要する時間に結構差がでるように思う。特に、初めて取り組むときは大きな差になることを体験した。」と語った。 この点について、大西氏は 「これは一つの例である。多くの他の具体的な比較事例の発表を期待する。」 とセミナーの後に述べている。

 続いて、HORB とその他の分散オブジェクト技術との性能比較について話を進めた大西氏は、例として株式会社 NJKの冨岡氏のテスト結果を紹介した。 結果についての詳細は割愛するので、公開されているセミナー資料をご参照いただきたい。

 次に HORB のライセンスについて説明した大西氏は「HORB のライセンスで特徴的な点は、平和利用目的にのみ使用が制限されていることである。 したがって兵器等に HORB を使用することはできない。」と語った。

 最後に大西氏は、HORB の利用例や技術資料、最新の動向等を一通り紹介して話を締めくくった。

(*1) インタラクティブに手話を学習することを目的としたシステムで、 単語を入力するとその単語に対応した手話をアニメーションで見せてくれるというものである。 Java アプレットで作成されており、アニメーションデータをサーバーから取得する部分に HORB が使用されている。

レポータ: 中村正弘


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