「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

②トラブル克服部門

silver優秀 「インターネットトラブル克服」  埼玉県 K.K


高校2年~3年までの約1年間の私は、いわゆるネットゲーム依存症と言っても過言ではない人間であった。
当時私はとあるオンラインネットゲームに熱中し、かなり長い期間ネットゲームの世界にのめり込んだ。きっかけは我が家にやってきた、ノートパソコンと共に繋げたネットワーク回線である。それまでオンラインゲームを知らなかった私は、オンラインゲームの魅力の虜になっていった。オンラインでネットゲームをする魅力は、何といってもやはり、見ず知らずの人たちと仮想の空間・ヴァーチャルな世界で会話ができたり、一緒にゲームを楽しめたりできるところだろう。最初こそ、「見ず知らずの人と話をするなんて怖いな・・・」「罵声を言われたら嫌だな・・・」という不安もあったが、次第にネットゲーム内で仲のよい友達であるネットフレンド(通称ネトフレ)が多くなっていくとその不安は無くなっていった。むしろ、「早く学校から帰ってネットゲームをしたい・・・」「今日ネトフレ達はどうしてるかな・・・」などとネットゲームが生活の主軸になっていった。その依存具合は常軌を逸し、学校を除き家にいる間はもちろん、食事の際にもネットゲームをしながら食事をとるというような生活を送っていた。
その時の生活は、学校生活や部活動で運動する、友人と会話するなどという現実世界(リアル)より、ネットゲーム内での自分のキャラクターこそが真の自分で、そのヴァーチャル世界での会話・行動こそリアルなのだと充実感に浸っていた。つまり、本来の現実世界にいる"自分"とヴァーチャル世界にいるキャラクターの"自分"とが逆転してしまっていたのだ。そして、日々のネトフレとの会話(チャット)や一緒に遊ぶ楽しさを覚え、ネット上のトラブル(実際に見ず知らずの人と会ってしまったり、個人情報を漏らしてしまったり)も気を付け、特に苦い経験をしなかったこともまたネット依存を助長していく結果となった。また、友人や両親も特にネット依存と言っても、学校に通っているのだからということで、注意や警告も受けなかったことも依存の助長に挙げられる。

そんなネット依存から抜け出すきっかけとなったのは、部活動であった。
私は子どもの頃から柔道をやっており、高校でも柔道部に所属していた。柔道で生身のリアルな身体を動かし、リアルな汗をかき、リアルに疲れ、リアルに達成感を味わうことの気持ちよさが、段々とネットゲームでの仮想(偽物)のリアルを上回っていったのだ。それに、スポーツをする者にとって質のある睡眠が必須になってくる。特に意識しなくても、スポーツで心身を鍛えれば自然と夜は眠くなっていく。必然的にゲームをする時間も減っていく結果となった。ネット依存は、一気に克服したのではなく、あくまで徐々に克服していった。それまでの常軌を逸したようなネットゲームプレイ(一日10時間程のプレイ時間)ではなく、「一日5時間まで」→「一日4時間まで」→「一日3時間まで」→「一日2時間で十分」→「ゲームは気分転換に1~2時間に」というように変化していった。

ネット依存から克服する方法は人それぞれだ。実際にネットトラブルで一度痛い目を見て、その後は気を付けたと言う人もいるかもしれないが、昨今ネットトラブルは殺人事件にまで発展してしまっているので、できればトラブル自体を前もって避けたい。友人や家族に注意され自分のネット依存具合を認識し、現実世界を見つめ直すきっかけになった人もいるのかもしれない。私の場合はたまたま、スポーツの柔道をやっていて、たまたまその楽しさに改めて気付いただけなのかもしれない。しかし、スポーツを通して、実際に心身を鍛錬することによって、ネット依存を克服することができたということは事実である。
ネット依存は、私自身もそうだったが、本人には気付きにくい。周囲の家族や友人がそっと克服のきっかけを作ることが効果的だと私は考える。もし、私の周囲にネット依存に陥っている友人や家族がいたら、この自らの克服の体験を話して伝えたい。「私は、ネット依存をスポーツで克服できたのだよ」と。些細だが、なにか克服のきっかけとなるかもしれないからだ。


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