「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

①使いこなし部門

silver優秀 「インターネットはドラえもん」  大分県 松岡 幸三


私にとってインターネットはドラえもんと同じくらい重宝している。検索が大きな役割を占めていたが転機は去年11月の釜山旅行だった。

友人に誘われるままに出かけた。人工透析を受けている私にとって、二泊三日が最高の旅行期間であった。

釜山で2日目に、夜行バスに乗った。私は一人で席についた。外は暗いし、最初聞いた1時間がやけに長く感じた。しかし、そんなことを忘れさせる出来事が起こった。 隣に釜山の大学へ帰る、女子大生が乗ってきたのだ。私は韓国語が全く分からな いから、黙っていた。すると品のいい彼女は、スマートフォンを取り出し、私に見せた。それには「何か困ったことがありますか」。と、書いてあった。彼女も 日本語は出来なかったのだ。私は、その質問には答えず、日本から来たこと、その日は海辺で遊んだこと、などを英語と漢字で書いて伝えた。そして、彼女は私達が行ったところは「私の故郷です」と、伝えてくれた。

そんなやりとりが続いたあと、私は彼女のスマートフォンに、facebookと書いた。すると、彼女は急に元気になり、そのスマートフォンを差し出し、携帯電話番号とパスワードを入れるように教えてくれた。言われるままにすると、私のページがあらわれた。「友達申請してもいいか」と、笑顔で聞いたので、相手のままに任せた。こうして1時間のバスの旅は、たちまち過ぎた。
バスを降りて別れるとき、彼女は英語で"Nice to meet you"と言った。11月4日 に家に着くと彼女からの友達申請が届いていて、日本語で打ち返しても、すぐに還ってくる。翻訳機能を使うのだと言った。私が返さないうちに、すぐ次の メールが届く。こんな、エキサイティングなやりとりをしたのは初めてであった。「これがチャットか」と、その時思った。その日の最後の言葉は彼女のいたわりの言葉だった。「旅行から帰ったばかりで疲れているから、またあした」と結んであった。

次の日にfacebookの メッセージ欄から、改めてきちんと自己紹介をした。最初のうちは、お互いの好奇心がぶつかりあい、楽しく話が弾んだ。何日目かに彼女から、「先生とお話を 続けさせてもらっていいですか」と有った。私は、「お互いに年齢も習慣も言葉も違うので、失礼があるかもしれない。また、仕事が多くていちいち返信でき ないこともあるが大丈夫か」と返事を返した。ちょっとした言葉の行き違いで、関係が駄目になったことがあるからだ。彼女はすぐにその条件で交際がはじまっ た最初のうちは、日本語だったが、間もなくインターネットの翻訳機能を使って、私も韓国語で文章を送るようになった。再翻訳機能を使って、本文を調整 して送った。

また、韓国語をきちんと勉強しようと思いインターネットのストリーミング機能で「ラジオ講座」を聞くようになった。更にそのスキット会話の部分を録音して、いつも聞くことにしている。

私の興味と彼女の興味は驚くほど一致していた。私が大分のファブ・ラボで物作りに参加したと聞くと、デザイナー志望の彼女には3D印刷などに「羨ましい」と書いてきた。

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また、外国人による弁論大会の指導をしている、と書くと、TEDのビデオを5本くらい送ってくれた。こうして、今まで交換したメールは1200本を越え、写真や動画も100枚以上をこえた。

それだけではない。彼女の紹介で多く海外の大学生とのメールの交換も始まった。

つい先日も「5月15日は先生の日です」といって、大きな段ボール一杯、韓国の物が手紙と一緒に送られて来た。

最近一番大きな衝撃を受けたのが彼女の紹介による韓国映画「トガニ」である。YouTubeで全編見ることが出来、あまりに感動したので日本語訳の原本を購入して読んでいる。

今回送ってくれた品物の中に、私の家族のデッサンがあった。これは、家族写真をスキャナーで取り込み、さらにそれをデッサンしたものだ。

こうして海を隔てて、40歳も歳の離れた女性と手紙や情報の交換ができることは私自身信じられない。インターネッはドラえもんの「どこでもドア」であり「翻訳こんにゃく」でもある。


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