「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

①使いこなし部門

silver優秀 「開かれる扉」  岡山県 田中


1996年、私達家族は主人の海外赴任に伴い、タイとの国境近くのマレーシアの田舎町に住んでいました。日本の家族や友人宛に手紙を書いて送ると、届くまでに1週間、それから返信を手にするまでにもう1週間、早くても2週間経たないと返事を読むことができません。遅い時だと1ヶ月ほどもかかっていたので、その頃には自分が手紙に書いた内容など、ほとんど忘れてしまっています。

そんなある日、突然主人がパソコンを抱えて帰って来ました。そんなもの、どうするのだろう?と思いながら様子を見ていると、「これでいつでも日本の事が分かる。手紙も送れる。」と言ってキーボードやディスプレイをセットしています。翌日には電話の回線につなぎ、キーボードで操作するとジ―ジ―という音がして、パソコンの画面にその日の日本のニュースや天気予報、さらには地元の話題やニュース、TVの番組表までが次々と出てきます。インターネットの知識がまるでなかった私は、「えー!こんな事ができるの?なんで?どうやって?」と頭の中は疑問符だらけ。

何が何やらさっぱり分からないけれど、こんな便利なものがあるのなら、これはもう使いこなせるようになるしかありません。まさに未来の道具を手に入れた私は、翌日からパソコンの前に陣取り、勉強開始です。と言っても知りたい事や分からない事があれば、それを入力するだけで本で調べるよりも早く必要な事柄が画面に映し出されるのだから、こんなに簡単な事はありません。だんだんと使い方にも慣れ、日本のニュースをオンタイムで知り、いち早くインターネットを始めた友人とメールでやり取りをし、そのうちマレーシアにいながら日本にいるのではないか、と錯覚するような生活を送れるようになりました。何と言ってもメールを送ると、2週間どころか数時間後、いや数分後には返事が返ってくるのだから驚きです。手紙の返事を1ヶ月も待っていた数週間前が嘘のようです。料理のレシピだろうと、学校の情報だろうと、知りたい事がたちどころに分かります。なんて素晴らしいんでしょう!今から考えると、電話回線を使ったダイヤルアップなので速度はすごく遅かったはずですが、画面さえ開けば日本はもちろん世界中に繋がる、どこでもドアを手に入れたような感覚でした。

旅行が趣味なので、帰国してからも年に数回海外に出かけますが、有り難い事にその度に必ずと言っていいほど新たな友人ができます。お互いにアドレスを交換さえすれば、距離に関係なく画像や動画でお互いの近況を交換できるので、ご近所に住んでいるような感覚で交友関係を続けられます。そんなインターネットは、私にとってどこでもドアなのです。世界へと開けている、インターネットと言うドアのある生活を有り難く思いながら、世界中にいる友人達とコミュニケーションをとりながら毎日を楽しんでいます。

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