「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

①使いこなし部門

silver優秀 時間・距離・国境を越えて  東京都 井川一太郎

今から60年ほど前、日本からカナダや中南米諸国へ多くの人が移住した。全国74大学が加盟した日本学生海外移住連盟という団体もあって、盛んに移住研修旅行を行い、多くの移住者を送り出していて、それら移住者の多くは現在も移住先の各地で暮らしている。彼らは、移住船に乗って海を渡り、パナマ運河を超え、国境を越えて、目的国の港へ着くと、同船者とも別れ、遠い日本との連絡もあまり取れず、ばらばらになって移住地で寂しく暮らすのがふつうだった。

しかし、パソコンが普及してからは、彼らの人生が変わった。時間や距離や国境による制約を一切受けることなく、一瞬で世界のどことも連絡が取れるようになったのである。
カナダや中南米へ移住していまもそこで暮らしている私の友人たちも、一時はお互いに連絡が取れずバラバラになったが、いまでは『私たちの50年』というブログを中心にして、近況報告や情報・意見のメールを交換して、倍旧の付き合いを取り戻している。各人の庭で今朝咲いた花の写真も添付されていて、なかなか味わいのある楽しいメールが多い。日本残留組の私たちも参加して、現在では50カ国以上の国に住む約400人のメンバーがいて、年に一度はサンパウロや東京などでオフ会を開いて旧交を温めている。

50年前にブラジル・アマゾンへ移住して農園を開き経営していた私の親友が昨年がんで亡くなったが、亡くなる直前までずっとパソコンで連絡し合い、数日間はスカイプで、顔を見て肉声で話すことができた。「これならわざわざアマゾンまで見舞いに来ることないべ?」と冗談を言って、彼が笑ってくれたのが嬉しかった。

われわれの人生を豊かに楽しく変えてくれたパソコンに感謝している。

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