「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

④青少年のインターネット利用部門

silver優秀 当たり前のことを当たり前にできること  千葉県 惰性石器

インターネットを利用するうえで僕が守っている単純なルールが二つあります。誰もが当たり前に知っていているほど当たり前のルールです。
それは「どんなことだろうが嘘だと思うこと」そして「反射的に怒らないこと」の二つです。
「この程度のルールは出来ていて当たり前だ」と思う人がほとんどだと思います。しかし、その当たり前のことすらできていると思い込んで、できていない人が世の中には溢れています。僕もその一人でした。
これは、僕がそう自覚するに至った体験談です。

つい1年か2年ぐらい前のこと。ツイッターと呼ばれるSNSでこのような投稿がありました。

「無断キャンセルに合いました。50人で貸切の予約で、料理を準備してお待ちしてましたが、予約時間過ぎても見えず、此方から電話するとキャンセルとの返事。キャンセル料を請求したら、そんな説明は受けていないと逆ギレ。国際信州学院大学の教職員の皆さん、二度と来ないでください。#拡散希望」と。

この投稿は、うどんや蛞蝓亭と名乗るアカウントによって投稿され、瞬く間に拡散されていき、瞬く間に膨大なアカウントのタイムラインへと広がっていきました。当然僕のツイッターのタイムラインにも。この文を読んだ瞬間、僕の中に何とも言い難い怒りの感情が沸き上がりました。僕以外のユーザーもそうだったらしく、キャンセルをした国際信州学院大学は瞬く間に炎上。
ざまあみろ。僕はそう思いました。実際にそう呟いていたかもしれません。

うどんや蛞蝓亭なんて店も国際信州学院大学なんて学校もこの世に存在していないとも知らずに。

怪談とかではありません。ただ単純にここまでの一連の騒動がすべて嘘だったというだけです。僕も含めて大勢のユーザーがまんまと釣られたわけですね。
しかも少し調べてみればわかったというのですから笑えません。
国際信州学院大学のサイトを見ればわかるのですが、例えば教員名のページにコサックダンス吉村なんて名前があったり、本学の歴史のページには【2010年 学長 レーシック手術】なんて書いてあったり。もう笑うしかないです。

以上が僕の体験談です。これの体験以来僕はインターネットで、またインターネット以外の情報でも「どんなことだろうが嘘だと思うこと」と「反射的に怒らないこと」その二つを徹底することを心掛けています。

最後に学長の言葉というページに乗っていた、存在しない学長が語っていた一連の騒動の皮肉のような言葉がとても身に染みたのでここに載せておきます。

今日のグローバル化や技術革新はこれまでに類を見ないスピードで急激に変化しています。これに伴い社会全体の価値観や思想が変わりつつあることは言うまでもありません。かつて日本の社会はパーソナルキャピタルの価値を妄信していました。ここでは、パーソナルキャピタルは「個人の知識」や「学歴」を意味するものであります。これらの価値を否定するつもりは毛頭ありません。しかし、今日の優秀な人工知能などを引き合いに出しますと、これらに特別な価値があるとも思いません。言ってしまえば、貴方の知識は貴方の持つスマートフォンで事足りるのです。 このような現代社会が要請する価値とは「ソーシャルキャピタル」に他なりません。こちらにも多くの意味がありますが、大切なのは「人とのつながり」と「キュレーション力」です。Webサイトやソーシャルネットワークは誰もが容易に利用できるものの、これらを上手に使いこなす人は多くないように思います。情報過多の世の中で必要なものを自ら正確に取捨選択しなくてはなりません。また、こうして集められた情報や知識を他者に発信できる人物こそが社会に求められているのです。

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