(1) プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する違法情報の送信防止措置依頼(ガイドライン案第3)について
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| ア 対象とする違法情報の範囲(ガイドライン案第3の2)について |
| <頂いた御意見> |
| | 対象とする違法情報の範囲について、知的財産権を侵害する情報についても対象とすべきである。 |
| <準備会の考え方> |
| | 知的財産権侵害情報(著作権侵害情報及び商標権侵害情報)については、既にプロバイダ責任制限法及び同法関係ガイドラインに基づき、権利を侵害されたと主張する人は、当該情報の送信防止措置の申出をプロバイダに対して直接行うか、または信頼性確認団体を通じて行う仕組みが整備されていることから、ホットラインセンターへの通報対象となる違法情報の範囲には含めないこととしています。
なお、実際に利用者から知的財産権侵害に係る通報があった場合には、専門的な対応を行っている権利者団体等に対して情報提供することとします。
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| イ 違法情報該当性の判断基準(ガイドライン案第3の3)についてて |
| (ア) わいせつ物公然陳列 |
| | <頂いた御意見> |
| | | 過去の判例ではわいせつの基準はモザイクの有無ではなく、表現された性的描写と思想・芸術性のバランスで判断がなされているところであり、性器が確認できるというだけでわいせつ物公然陳列の構成要件に該当する情報と判断するのは不適当である。 |
| | <準備会の考え方> |
| | | ホットラインセンターにおいて対象とする違法情報については、ガイドライン案第3の2に記載しているようにインターネット上における流通が社会問題化している明らかな違法情報を対象としており、わいせつ物公然陳列について言えば、アダルトサイト等におけるわいせつ画像が対象となるので、思想・芸術性とのバランスが問題となるようなことはないと考えております。 |
| (イ) 児童ポルノ公然陳列 |
| | <頂いた御意見> |
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① | 漫画、アニメ、ゲームといった創作物における画像はガイドラインの対象外とすべきである。 |
② | 18歳未満かどうかを外見で判断することは適当ではない。 |
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| | <準備会の考え方> |
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① | ガイドライン案でいう「児童ポルノ」の定義は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第2条で定義される児童ポルノと同じく、実在の児童の姿態を描写したものを指し、「実在しない児童」を描写したものについては対象となりません。 |
② | 捜査権を持たない民間のホットラインセンターでは、画像等に描写されている対象者の外見や、付随する情報(対象の年齢に関する情報等)、対象情報が掲載されているウェブサイト等に掲載されている他の情報(他の画像等の内容等)から18歳未満か否かを判断することが妥当と考えています。
なお、ホットラインセンターにおける違法情報該当性の判断手続によって、当該情報が違法であることが確定する訳ではありません。 |
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| ウ 違法情報該当性の判断手続(ガイドライン案第3の4)について |
| <頂いた御意見> |
| | 違法情報の判断は法執行機関・裁判所が行うことであり、ホットラインセンターが行うべきことではない。 |
| <準備会の考え方> |
| | ホットラインセンターにおける違法情報該当性の判断については、警察への通報及びプロバイダや電子掲示板の管理者等への削除依頼を行うか否かを決定するためのものであり、違法であるか否かの最終的な判断は裁判所が行うものと考えています。
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| エ 送信防止措置依頼手続(ガイドライン案第3の5)について |
| <頂いた御意見> |
| | 違法情報と判断した場合はプロバイダや電子掲示板の管理者等に削除依頼をするのではなく、警察に通報するべきである。削除依頼を行うのは、証拠の隠滅につながる危険がある。 |
| <準備会の考え方> |
| | ホットラインセンターにおいて違法情報と判断した場合には、警察において証拠保全等捜査上の観点から、ホットラインセンターからプロバイダや電子掲示板の管理者等に対して送信防止措置依頼を行うことが適当ではない場合もあることから、警察への通報から一定期間を置いた後に、プロバイダや電子掲示板の管理者等への送信防止措置依頼を行うこととしています。 |
| <頂いた御意見> |
| | 対象情報が投稿・蔵置されているサーバの管理者が特定できない場合には、プロバイダに送信防止措置依頼がなされるとのことだが、プロバイダ責任制限法『逐条解説』(総務省)10頁によると、通信回線自体の利用を停止する場合には、同法3条1項「送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合」に該当しないとされている。従って、プロバイダ責任制限法『逐条解説』が改訂されていない状況では、同法による手続とのバランスから、インターネット接続自体を停止するしか送信防止措置がない場合には、送信防止措置をとる義務がないことを明記すべきである。(プロバイダからの御意見)
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| <準備会の考え方> |
| | プロバイダ責任制限法は権利侵害情報を放置した場合又は他人の権利を侵害していない情報を誤って削除した場合の民事責任の範囲を定めたものですので、ホットラインセンターが対象とする違法情報とは対象範囲が異なります。したがいまして、ホットラインセンターからの送信防止措置依頼手続は、プロバイダ責任制限法および同法関係ガイドラインに基づく手続とは異なる手続であると考えています。
また、ホットラインセンターからプロバイダや電子掲示板の管理者等に対して行われる依頼については法的な根拠に基づくものではないので、依頼を受けたプロバイダや電子掲示板の管理者等において対応を行うか否かは任意であり、対応を行わなかったことのみを理由として法的責任を問われることはないと考えています。
なお、ガイドライン中にも、「電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第6条により、プロバイダは、インターネット接続サービスの提供について、不当な差別的取扱いをしてはならず、特定のサーバに蔵置されている適法な情報を含むすべての情報について送信防止措置を行うことができる場合は相当限定されるものと考えられる。」との記述があります。
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(2) プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する公序良俗に反する情報に関する対応依頼(ガイドライン案第4)について
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| ア 総論(ガイドライン案第4の1)について |
| <頂いた御意見> |
| | 違法情報ではなく、「公序良俗に反する」とされるものまで対象とするのは公権力の越権行為、表現の自由の侵害である。 |
| <準備会の考え方> |
| | 対象となる情報は、公序良俗に反する情報全般ではなく、違法な行為・結果に結びつきうるものに限定されています。また、公序良俗に反する情報については、ホットラインセンターよりプロバイダや電子掲示板の管理者等に対し、利用者との間の契約や利用に関する取決め等に基づく対応を依頼するものであり、依頼を受けたプロバイダや電子掲示板の管理者において、それぞれの判断に基づき対応を行うこととなります。
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| イ 公序良俗に反するか否かの判断基準(ガイドライン案第4の3) |
| (ア) 情報自体から、違法行為(けん銃等の譲渡、爆発物の製造、児童ポルノの提供、公文書偽造、殺人、脅迫等)を直接的かつ明示的に請負・仲介・誘引等する情報について |
| | <頂いた御意見> |
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① | 爆発物の製造については、学術的な内容やリアリティを求めた文学的表現との線引きが難しいので、より限定的な内容とするべきである。 |
② | 殺人、傷害、脅迫、恐喝については、具体的な対象が分からない限り、犯罪につながる可能性は低いのではないか。 |
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| | <準備会の考え方> |
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① | 爆発物の製造については、「ウェブサイト等に掲載されている他の情報等から爆発物の不正な製造を直接的かつ明示的に助長、教示等していると認められるとき」に限って公序良俗に反する情報と判断することとしています。 |
② | 殺人、傷害、脅迫、恐喝については、依頼者による具体的な対象の記載がない場合でも、「ウェブサイト等に掲載されている他の情報等(対価、支払方法等)」から、これらの行為を直接的かつ明示的に請負、仲介、誘引等していると認められる場合は、実際に殺人事件等が発生している現状を踏まえ、公序良俗に反する情報と判断することとしております。 |
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| (イ) 人を自殺に誘引・勧誘する情報について |
| | <頂いた御意見> |
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① | 自殺を禁止する法律は存在せず、それについての表現を規制することは表現の自由を損なうものであるため、「人を自殺に誘引・勧誘する情報」については削除すべきである。 |
② | 単なる情報発信の事後抑制が問題を解決するとは思われず、状況によっては警察への通報が必要であるため、ホットラインセンターは通報の仲介をするにとどめるべきである。 |
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| | <準備会の考え方> |
| | | 自殺は違法行為ではありませんが、人を教唆したり幇助したりして自殺させることは自殺教唆、自殺幇助という違法行為に当たりますので、人を自殺に勧誘・誘引する情報はこれらの違法行為に該当するおそれがあると考えております。
なお、自殺予告のように緊急の対処が必要な情報を受理した場合は、ホットラインセンターでは、人命救助の観点から警察へ情報提供をすることとしています。
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(3) ガイドライン案に対するその他の御意見
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| 以下は、ガイドライン案の意見募集箇所以外に対する御意見ですが、準備会の考え方をお示しします。
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| ア 本ガイドラインの目的(ガイドライン案第1)について |
| | <頂いた御意見> |
| | | 国際的な背景をみれば、INHOPEを中心として、主に児童ポルノなど児童への直接の人権侵害となるコンテンツへ対応するホットラインが主流であり、このような流れへの対応は必要であるが、児童ポルノについての通報以外は、インターネットで情報を受発信するユーザの利益を考慮し、自主規制の枠組みであることが明確であるようにする必要がある。
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| | <準備会の考え方> |
| | | わが国においては、児童ポルノはもとより、ガイドライン案第3の2で挙げたその他の違法情報や、ガイドライン案第4の2で挙げた公序良俗に反する情報のインターネット上における流通が社会問題化しています。こうした状況に鑑み、これらの情報をガイドライン案の対象としています。
なお、ホットラインセンターによるプロバイダや電子掲示板の管理者等に対する送信防止措置依頼等は、法令による削除義務等を伴うものではないため、あくまでプロバイダや電子掲示板の管理者等による、情報が違法か否か、公序良俗に反するか否かの判断を支援するための枠組みであると考えています。
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| | <頂いた御意見> |
| | | 利用者からの匿名での通報を認めることは、悪意ある通報による通報制度の乱用につながるのではないか。
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| | <準備会の考え方> |
| | | プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する送信防止措置依頼等は、ホットラインセンターにおける判断を経た上で行いますので、利用者からの虚偽の通報によってプロバイダや電子掲示板の管理者、情報発信者等が不利益を被ることはないものと考えています。
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| | <頂いた御意見> |
| | | ホットラインセンターなど無くても、警察に通報すればよいのではないか。
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| | <準備会の考え方> |
| | | 現在のIT社会におけるインターネット上の違法情報対策においては官民連携が重要であることから、既に警察に通報窓口があることがホットラインセンターの設置の障害となるものではないと考えています。また、有害情報については、複数の関係機関が対応していますが、利用者からすれば情報の内容に応じた適切な通報先機関を選択することが難しい場合があります。さらに、海外に設置されたサーバに蔵置された違法情報については、各国警察機関の連携を補完する形で、INHOPE(Internet Hotline Providers in Europe Association)を通じた民間レベルでの国際連携がなされています。こうした状況の下で、インターネット上の違法・有害情報対策を効果的かつ効率的に推進していくためには、ホットラインセンターを設置することが必要であると考えています。
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| イ ホットラインセンターからプロバイダや電子掲示板の管理者等に対する依頼(ガイドライン案第2)について |
| | <頂いた御意見> |
| | | 違法情報や有害情報の発信は海外のレンタルサーバ等からの発信が多いと思うが、こうしたものにもガイドラインは適用されるのか。
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| | <準備会の考え方> |
| | | ガイドライン案は原則として日本国内のプロバイダや電子掲示板の管理者等への対応依頼について規定するものです。
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| ウ プロバイダや電子掲示板の管理者等による対応が任意であること(ガイドライン案第6)について |
| | <頂いた御意見> |
| | | 電子掲示板の管理者は、掲示板に違法な情報や画像が有ったとしても、削除に時間がかかったり、掲示板の存在を忘れていたりすることがある。そのときに、第三者による違法な利用をされていることで、掲示板の管理者が罰せられたり、不利益を被ったりすることのないようにしてほしい。
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| | <準備会の考え方> |
| | | プロバイダや電子掲示板の管理者等が違法情報の流通を知っていた場合でも、自らが当該情報の発信者である場合や故意に違法情報を放置していた場合を除き、対応を行わなかったことのみを理由として法的責任を問われることはないものと考えています。
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