野田聖子衆議院議員からのメッセージ

パーティー開催にあたり冒頭の挨拶として野田聖子衆議院議員からのメッセージを頂きました、その内容を掲載致します。

2003年 3月 6日(木)18:00~ パレスホテル「若草の間」

 本日は、財団法人インターネット協会および英国・チャイルドネット・インターナショナルの共催により、『モバイルインターネットと子供に関する国際ワークショップ』が開催されましたことを心から嬉しく存じております。日本の国会議員として、私は、国内・国際的な社会のIT化が現に、そして将来にわたり及ぼす多様な影響に強い関心をもってまいりました。本日は公務の為、本ワークショップに参加できなかったことを大変残念に思いつつ、IT社会に生きる日本、そして世界の子供たちに対し重大な責任を負う大人の一人として、私の思うところをメッセージに託したいと思います。皆様のお時間を少しお与えいただければ幸いです。

 インターネットの進展により、私たちはさまざまな物理的境界から自由となり、これまでとは全く位相の異なる時代を生きています。しかし、正直なところ、私たちはまだその変化に十二分に対応できる準備ができていません。日本のほぼ全ての公立学校にはパソコンが置かれ、インターネット接続が可能な状態にあるなか、パソコン教室のドアが固く鍵をかけられているのは、その一つの悲しい証左です。生徒達が教室に自由に出入りすることを許せば、まずはPCが壊されるのではないか、という心配から始まり、有害情報にアクセスしはないか、バーチャルな世界の中でさまざまな被害に遭いはしないかと、教師の側の不安は膨れるばかりで、その結果がパソコン教室への立ち入り禁止につながっているわけです。

 しかし、現実には、PCよりずっと身近な携帯電話が子供たちの生活に浸透し、ネットの世界はモバイルツールを通して子供に開放されています。手のひらサイズの機械の中に無限大の可能性が広がることを子供はすぐに理解しますが、そこにはまた、無限大の危険性が並存していることにはなかなか気づきません。疑うことに長けていない子供たちは、手の中で展開するインターネット社会の面白さにのめりこむものの、その社会がいまだ完全なルールを持ち得ない無法地帯であることを知りはしないのです。

 本日のワークショップでは、一昨年の12月に横浜で開催された『第2回子供の商業的性的搾取に反対する世界会議』での議論を更に発展させるため、日本、また海外からも有識者や関係業界の皆様、さらには政府関係者を交えて、多角的な意見交換がなされたものと伺っています。現在、わが国は『児童買春・児童ポルノ禁止法』の改正時期を迎えており、同じように横浜会議での成果を取り込みつつ、国会議員レベルでの議論を積み重ねているところです。そこでの重大論点の一つは、インターネット上での児童ポルノの取扱いを新たな処罰対象に加えることです。また、警察庁を中心として、日本特有の『出会い系サイト』に係る昨今の事件多発に鑑み、出会い系サイトの取り締まりを目的とした立法作業も同時に進んでおります。

 さまざまな議論に共通して言えることは、インターネットの醍醐味をプラスのものとして子供たちに伝えるためには、大人が適切な介添え役を果たせねばならない、ということです。子供のネットに係るリテラシーを高めてやるとともに、万一にネットのマイナス面にふれた子供たちを保護、救済するセーフティネットを整備してやらねばなりません。ルールや制度を構築するだけではなく、学校や家庭の場に落として、子供の理解を促し、自分のために、また、他者のためにもルールを遵守する姿勢を身に付けさせねばなりません。現時点での取り組みを振り返る時、先にふれたパソコン教室の管理のあり方に象徴されるように、大人は子供をネット社会から遠ざけることで済ませようとしがちですが、それは無意味であるばかりか、かえって有害であることを強く確認しなければなりません。子供より一歩も二歩も先んじて、親が、教師が、地域の大人たちが、ITツールの特性を把握し、子供たちを適切に導く決意をもち、具体的に実行していく必要がいま、厳しく求められていると思います。

 好奇心こそが命、の子供たちはその気持ちの赴くままに、新しい世界へ飛び込んでいきます。その動きの全てを大人がしっかりと、確信をもって見守ってやらねばなりません。子供が喜びを覚えるのも、また傷つくのも全て、私たち大人の責任であることを見つめなおし、真に人のためにITが活用される社会を築き上げていきたいと願っています。本日、この会場にご参集の皆様がきっと私と同じ気持ちで議論されたであろうことを思い、私も今後、国会での活動を通して努力していくことをお誓い申し上げます。

 長くなりましたが、明日も引き続きよき意見交換が行われることを祈念して、私のメッセージとさせていただきます。ご静聴、ありがとうございました。

平成15年3月6日  衆議院議員 野田 聖子 (代読)




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