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![]() 最終更新日:2001-01-30 |
JJJMP Vol.1 レポート 「Net Liaison」 |
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講師:福田春生氏(沖電気工業株式会社) [資料(PPT: 615KB)] |
「Net Liaison」は、沖電気が開発しているミドルウェア群で、Jiniによる汎用的な分散システムを構築するためのインフラを提供するものである。具体的には、クライアント層、ユーティリティサービス層、管理コンポーネント層という3つの層において利用される、各種ユーティリティやコンポーネント群がその実体である。
まず福田氏は、クライアント層のサポートについての説明から開始した。Net Liaisonでは、jini.orgにおけるService UIプロジェクトに基づくユーザーインターフェイスが採用されている。Service UIは文字通り、Jiniサービスが提供するユーザインターフェイスのためのAPIを定義するもので、GUIだけでなく音声などの手段も想定されている。ここにおいてUIは、サービスアイテムのなかの属性情報として登録されるため、外部からの操作が可能になり、UI自体の着脱、あるいは拡張が可能になる。 Net Liaisonでは、このUIをベースにJiniの汎用的なクライアントとなる「Jini Service Finder」を用意している。これはLookupサービスが提供する対話的検索APIをGUI上に表現するもので、Lookupサービスの選択、そしてサービスタイプや属性情報による検索を行ない、そのUIをダウンロードして表示するというものだ。また、このService FinderのロジックをServlet上で表現することも可能となっており、クライアント環境の自由度を向上させることができる。 次に福田氏は、Net Liaisonの管理コンポーネント層に話題を進める。Jiniでは、サービス管理そのものが仕様化されているわけではないが、実際には、Lookupサービスやトランザクションマネージャといったもののサービス管理インターフェイスが実装されている。そして、Jiniサービスの管理APIは、複数サービスの管理を行なう管理プロキシによるサービス管理機構がとられている。ただこの場合、オブジェクトレベルでの再利用性についての難があるという。こうした問題点をクリアするためにNet Liaisonでは、管理コンポーネントというものを提供している。この管理コンポーネントでは、Jiniのサービス管理APIをそのまま利用し、サービス開発に共通な管理機構をUIまで含めて、コンポーネントとして提供するかたちとなっている。加えてNet Liaisonでは、Sunが提供している管理項目以外にも、サービスの状態・障害管理、ログ管理、サービス間連携管理、イベント管理やリース管理といった汎用的な管理項目もサポートする。 続いて、Net Liaisonのユーティリティサービス層であるが、ここではJiniシステムの開発・管理に有効なサービス群が提供されている。具体的には、JavaSpaceに対する操作をモニタするサービスを実現する「JavaSpace Monitor」、ファイル管理をService UIで行なうためのWebサーバである「Remote File Service」、XMLデータを遠隔からDOM APIを使ってアクセス可能とする「DOM Storage」、あるいはJiniサービスを低速・不安定なネットワーク上で利用するためのメッセージング機構を提供する「Liaison Service」がユーティリティとして含まれる。 実際、福田氏が言うように「Jiniは、思想的には非常に明確できれいなものであるが、いざそのうえでサービスを開発していこうとなると、やはりまだまだユーティリティのたぐいが足りない」といった事情は明らかである。つまり、そうした部分を補う役割を果たすソフトウェアとして、Net Liaisonは大いに注目されるはずだ。 |
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