「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

②トラブル克服部門

gold最優秀 「子育てとインターネット」  大阪府 mama


私にはふたりの子供がいる。
小学生の女の子と、年長の男の子。主人は単身赴任中で、私はバリバリ働きながら、この家の全てを実質ひとりで切り盛りしている。

下の子は、体が弱く、たびたび熱を出しては保育園を休む。私はその度に仕事を休むことになる。母親として当然のことなのだけれど、一日も早く会社に出社しなければと、息子の心配もそこそこに、自分の社会的立場の心配をしてしまう、なんとも母性に欠けたダメ母だ。

息子は熱を出すと、完治まで凄く時間がかかる体質で、1週間丸々休まないといけない事もしばしば……。
なにか物凄い病なのではないかと、真っ赤な顔で眠る息子の横で私がするのは毎回決まって携帯で息子の症状を検索にかけることだ。

「発熱 40度 5日目」
「発熱 6日目 薬」
医者に貰った薬の名前を検索してみたり、とにかく何でも良いから、同じ経験をしたことがある先輩お母様の情報が欲しい。
たいていこんな事に没頭している間に、息子は完治してくれるのだが。
「この子は大丈夫なのだろうか、だいたい何日程で回復するのだろうか」そんな誰にも分からないような情報を探して勝手に安堵したり、勝手に不安になったりしている、またもやダメな母。そんな事をしている時間があるなら、ぬるくなった氷枕、取り替えてやれよ!って、自分で思って撃沈する。

ある日、上の娘が泣きながら帰宅した。お友達に仲間はずれにされてしまったらしい。
泣きじゃくる娘を前に、私の胸がザワザワと音を立てた。
私は今の娘と同じ歳で、転校をしたことがある。
方言の違いから、コテンパンに苛められた。そのトラウマからか、娘のお友達トラブルには過剰に反応してしまう。まるで自分が虐められたかのように気分が沈み、眠れなくなり、涙が出てしまう始末。当の娘は旦那に似た性格で、その場は泣いても5分後には笑いながらテレビを見てしまうような、アッケラカンとした羨ましい性格なのに。
この厄介なトラウマと、寝不足を解消するべく(実際は更に眠れなくるだけなのに)私がとる行動は、お察しの通り、インターネットだ。

「3年生 女の子 いじわる」
「女子 仲間はずれ 親はどうする」
など、あれやこれやとワードを打ち込み、先輩お母様の体験談や、アドバイス、解決策を読み耽る日々。
共感する記事もあれば余計に不安になる記事……とうとう収集が付かなくなり、自爆……。
頭から娘のことと過去のトラウマが離れずに、寝不足に拍車がかかる。神経がピリピリし、家事や日々の生活の全てをモヤモヤした気分のままこなす私に娘がひとこと。
「ママ?もしかしてあの日私が泣いていたことを気にしてるの?」
その目はなんとも言えない不安と、幼いながらに母親を心配するような複雑な感情に溢れていた。
娘は続けた。
「今日学校に行ったら、お友達、謝ってくれたし、私そんな事とっくに忘れてたから心配せんでいいよ?」

勝手に悩んで勝手に心配して、インターネットの情報ばかりに目を、耳を、心を傾け、娘の顔をキチンと見ていなかった事にその時気がついた。

ひとりで育児をする上で、不安や心配は尽きない。誰かの助言や体験談を指先一つで収集出来るインターネットというツールは、私のような弱い母親には有難くて有難くて堪らないものだ。
でも、それ以前に、もっとキチンと見ていないといけないものがあった。
それを思い知らされた出来事だった。

もしまた息子が熱を出したら、もしまた、娘が何かで悩んだら、インターネットを開く前に、目をみて、耳を傾けて、子供たちとしっかり、向き合おうと思う。

インターネットは、こどもたちとYouTubeを見たり、離れて暮らす旦那とテレビ電話をしたり、そういう事に使う事にしよう。

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