Subject: [HOTLINENEWS 81]
インターネットホットライン連絡協議会メールマガジン32号(2007年7月号)
 Fri, 13 Jul 2007 21:33:31 +0900

夏休み前のこの時期は、学校のセーフティ教室の講演ラッシュです。
ですので、少年犯罪を中心にお話します。


▼ホットラインに寄せられた相談件数

http://www.iajapan.org/hotline/data/data.html
2007年5月 64件
2007年6月 58件

5月は架空請求(クリック詐欺含む)の相談が半数を占めました
「個人情報が漏れているので削除料を請求する」といった新手のものや
未成年なので支払えないと返事をすると、
「あなたが未成年かを確認しますので、生年月日を公的に確認できる、
パスポート・学生証・免許証・健康保険証・住民票等を写メールで
結構ですのでお送りください。確認出来次第、退会処理を致しますので
支払いをする必要はありません」などといった悪質な手口の相談もあり
ました。

6月は架空請求の件数が落ち着いてきたようです。
高校生以下から、プロフや掲示板でのいじめの相談が何件かありました。
相談者が(不明の方も多いので一概でありません)低年齢化していること、
携帯からの相談率が増えていることが顕著な月でした。


▼ニュース記事から(その1)

前回メルマガでお知らせしたニュースですが、
その後、不起訴処分(侮辱のほう助)となってしまいました。

2007年6月25日
「学校裏サイト」管理人不起訴 書き込み名誉棄損ならず 大阪地検
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070625-00000167-jij-soci
インターネットの掲示板で、女子中学生を実名で中傷する書き込みを放置
したとして、名誉棄損のほう助容疑で書類送検された掲示板管理人の20代
男性について、大阪地検は25日、嫌疑不十分で不起訴処分とし
た。同地検は、書き込みの内容が名誉棄損ではなく、侮辱に当たると判断
した。刑法の規定で、侮辱のほう助は罰することができない。
男性は昨年10月から11月にかけ、大阪市内の中学の情報を扱った
「学校裏サイト」で、当時13歳の女子生徒を実名で中傷する書き込みを
削除するよう保護者が要請したのに拒否して放置。今年1月、大阪府警に
書類送検されていた。 

▼いじめの相談例

「プロバイダ責任制限法の発信者情報開示関係ガイドライン」の公表により、
ネット上の権利侵害の発信者情報開示請求に関する対応指針が明らかになっ
たため、適切な対応を期待する相談がポツポツ寄せられています。

(相談例1)
なりすましによって、http://*****/****/にプライバシー侵害を受
けた中学3年生です。親がここに警告文を送った途端、ページの削除が
ありました。ところが、今朝、私を実名で名指した中傷を発見しました。
プロバイダ責任制限法があるので、発信者の情報開示を請求するため、
サイト管理者にメールを送りましたが、いっこうに返事が来ません。
警察にも相談しましたが、捜査してもらえるか…一刻も早く発信者の
特定をしてもらいたいのです。
プロバイダからの返事というのは、そんなに時間がかかるのでしょうか。

 (相談例2)
私のプロフのゲストブックの書き込みを見たら「おまえの彼氏きもいよ
おまえものずきだね。」て書かれていました。よかったら私のプロフを
見てください。犯人を捜す簡単にできるでしょうか?

(相談例3)
友人のプロフィールに対し、中傷の書き込みをしたと言われています。
自分では全くやっていないのです。友人が言うには携帯の個体識別番号
から検索したら私の携帯番号がでたと言っているのです。
電話会社へ確認しましたが、個体識別番号と携帯番号は一般の人が調べら
れるはずがありませんと言っていました。
誰かがなりすましでやっているのでしょうか?

(開示について)
ホットラインでも、あるサイト管理者に対して発信者情報開示請求を試みて
みましたが、サイト管理者からの開示は難しくかなりの覚悟がいることなの
だ感じました。
 ↓
(サイト管理者回答例)
○○は、全てのユーザに対し常に公平であり、事の善悪を判断し調停を実行
する司法機関のような法的権限を有しておりません。
そのため、被害者の方からのご連絡の場合でも、被害者であることを判断し、
個人情報を開示するということができません。
※利用規約に抵触している場合には、ページ削除を行っています
また、個人情報の開示を希望されます場合には、プロバイダ責任制限法に
基いた申請を行っていただく必要がございます。
そのため、本件のような場合、ネット上でのトラブル・迷惑行為につきま
しては、警察機関等へご相談いただくことをお勧めしています。


(関連の相談窓口)
法務省人権擁護局
http://www.moj.go.jp/JINKEN/index.html
子どもの人権110番
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html
全国webカウンセリング協議会
webカウンセリングルームみらい
http://www.web-mind.jp/c_room/

▼ニュース記事から(その2)

この高校生は授業中に携帯で書き込みをしていたとのことです。

最近は、警視庁少年育成課の皆さまとお話する機会が多くなりました。
特に、オンラインゲームのコミュニティサイトでの出会い系サイト化現象が、
悩ましい問題だと思いました。

2007年7月9日
援助交際デリヘル 高3少年逮捕 少女3人に売春させる(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070709k0000e040078000c.html

援助交際デリヘル 高3少年逮捕、少女3人に売春させる
元交際相手の少女らに売春をさせていたとして、警視庁少年育成課は9日、
埼玉県の高校3年の少年(17)を児童福祉法違反(淫行させる行為)
と児童買春禁止法違反(業としての児童買春周旋)の疑いで逮捕したと発表
した。昨年9月〜今年3月の間、16〜17歳の少女3人を約120人の客
に紹介、約380万円を得ていたという。
調べでは、少年は昨年9〜10月、東京都江東区などのホテルで、少女3人
に売春させた疑い。女子高校生を装って出会い系サイトに「H系募集」など
と書き込み、返信のあった客に少女を紹介、3万円前後で売春させる「援助
交際デリヘル」と呼ばれるシステムで、わいせつ行為のあっせんを繰り返し
ていた。
少年は容疑を認め「『闇の職業安定所』というインターネットのサイトを見
て思いついた」と供述している。少女らは埼玉県や東京都に住み、事件当時
はいずれも高校生だった。少年は売り上げの6割を少女に渡し、残りを自身
の利得にしていたという。

▼内閣府「情報化社会と青少年に関する意識調査」結果発表

2007年7月7日
小学生77%がパソコン使用・保護者は有害サイトを懸念(日経新聞)
http://it.nikkei.co.jp/security/news/index.aspx?n=SSXKF0506%2006072007

内閣府は7日付で「情報化社会と青少年に関する意識調査」の結果を発表した。
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu.htm
小学生の携帯電話の使用率は31.3%、パソコン使用率は77.4%に上り、
保護者が暴力やわいせつ画像などを扱う有害サイトの閲覧を心配している現状
が浮き彫りになった。
政府は「有害情報から子どもを守るための検討会」の初会合を10日に開催。
警察庁、法務省など関係省庁の課長級で有害サイトの規制強化などを検討し、
年末までに中間報告をまとめる。
携帯電話やPHSの使用率は中学生で57.6%と半数を超え、高校生では96%
とほぼ全員に普及。パソコン使用率は、中学生が81・2%、高校生が88.6%
だった。子どものネット利用に関して保護者が心配しているのは「暴力的、
性的、反社会的な内容を含むサイトにアクセスすること」が母親で40・9%、
父親で37.7%に上り、いずれもトップ。半面、パソコンでインターネットを
利用している人に、有害サイトの閲覧を制限できる「フィルタリング・サービス」
について聞いたところ、知らないと答えた人は父親で43.6%、母親で6.8%
に上った。調査は3月、全国の10〜29歳の男女5000人(回答率49.4%)と、
そのうち10〜17歳の児童・生徒の保護者2000人(同57.3%)を対象に、
主に面接で実施した。


▼その他の最新ニュース
一覧
http://www.iajapan.org/hotline/inews/inews.html

2007.5.9(ITmedia News)
ポルノサイトリンク集運営者 児ポ法違反ほう助で逮捕
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0705/09/news043.html

2007.5.11(Sankei WEB)
ネットの有害情報 子供への対策 文科省 先進事例など紹介
http://www.sankei.co.jp/keizai/it/070511/itt070511000.htm

2007.5.14(ITmedia News)
違法着うた配信で初の逮捕
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0705/14/news069.html

2007.5.15(ITmedia News)
日本の違法コピー率は25% 損害額は2140億円
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0705/15/news096.html

2007.5.22(INTERNET Wacth)
ハイテク関係や悪質商法の相談件数が減少 警察庁まとめ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/05/22/15784.html

2007.5.22(INTERNET Wacth)
「子供はPCを使うがフィルタリングは未使用」が44.4% 総務省調査
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/05/22/15790.html

2007.5.22(Sankei WEB)
SNS大手マイスペース 性犯罪者リストを警察に提供
http://www.sankei.co.jp/keizai/it/070522/itt070522000.htm

2007.5.24(INTERNET Wacth)
「画像ちゃんねる」管理者ら 猥褻画像公然陳列の共犯容疑で逮捕
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/05/24/15823.html

2007.5.25(INTERNET Wacth)
年間2,223万人が情報漏洩被害 Winny流出も急増〜JNSA調べ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/05/25/15836.html

2007.5.27(Mainichi Interactive)
ネット依存 増える小中生 居場所は「秘密基地」
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20070527k0000m040127000c.html

2007.5.29(asahi.com)
児童ポルノ ネット拡散 違法/有害サイトの根絶に課題
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200705280485.html

2007.5.31(Sankei WEB)
ライナス学園 ネット中傷は元生徒の親
http://www.sankei.co.jp/chiho/kanagawa/070531/kng070531000.htm



2007.6.1(INTERNET Wacth)
フィルタリングの普及に向けたアクションプランを6団体が発表
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/06/01/15918.html

2007.6.1(ITmedia News)
著作権法の親告罪見直し 海賊版の出品 ダウンロード違法化も検討 07年知財計画
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0706/01/news094.html

2007.6.5(YOMIURI ONLINE)記事掲載
教育ルネッサンス トラブルに素早く厳然と
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070605us41.htm

2007.6.6(asahi.com)
文化庁 著作権契約の入門サイト開設
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200705250280.html

2007.6.7(Sankei WEB)
「プロフ」に悪口 決闘に 高校生ら10人逮捕
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070607/jkn070607001.htm

2007.6.8(Sankei WEB)
集団いじめ動画がネット流出 投稿サイトで広まる
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070608/jkn070608004.htm

2007.6.10(Mainichi Interactive)
児童ポルノ「所持合法の日本、のんき」 被害相談増える
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070610k0000m040121000c.html

2007.6.12(NIKKEINET IT+PLUS)
ネット上の違法・有害情報、海外サーバー経由が3割弱
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=AS1G0704E%2011062007

2007.6.20(ITmedia News)
海賊版出品防ぐ協議会、公式サイト開設
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0706/20/news069.html

2007.6.25(Sankei WEB)
「犯罪の助長行為です」警察庁 摘発サイト閲覧に警告文
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070625/jkn070625021.htm

2007.6.30(Sankei WEB)
警視庁情報流出 同僚十数人から収集 過去最大1万2000人分
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070630/jkn070630003.htm


▼編集後記

先月、都内の講演後のアンケートにこんなことが書かれていました。
「専門用語がわからないので理解に難しかった。
 サイト、ウェブ、ホームページ、インターネットの違いは何でしょう。」

NHK週間こどもニュースからも同じ質問があったので、まとめてみました。
基本的に全部同じと考えてもいいようなものですが、説明しないと難しい
ものなのですね。なので、おおいに反省した講演でした。

本を例に説明すると、
1.ウェブサイト(=サイト)は「本」
2.ホームページは「本の表紙」
3.ウェブページは「本のページ」
4.ウェブ(WWWの別名)は「世界中の本のページをつなぐ物体で、世界中の図書館のようなもの」
世界中のウェブページをクモの巣のようにつなぐものです。
5.インターネットは「その世界中の図書館を建たせている世界中の土地」
ネットワークとネットワークをつなぐコンピュータネットワークです。


以上