第2回インターネットホットライン連絡協議会研究会レポート


 第2回研究会では、インターネットホットライン連絡協議会での活動を広く知って頂くことを目的として、セミナー形式にて開催し、「インターネットトラブルの最新事例」としてWEB110代表の吉川誠司氏に、迷惑メール問題対策として平成14年2月1日に施行された「特定商取引に関する法律施行規則の改正」について経済産業省商務情報政策局消費経済政策課の原英史課長補佐にご講演いただきました。ネットトラブル相談サイトご担当者、消費者相談窓口、インターネットプロバイダー、キャリアー、行政機関、メーカー、弁護士、警察など、計55団体70名が出席。

 第3回研究会につきましては、5月頃に著作権関連をテーマに開催予定。
日 時:2002年3月4日(月) 13:30~17:00

会 場:株式会社三菱総合研究所 2階セミナー室

プログラム

13:30~15:30 インターネットトラブル最新事例
「今ネットの世界で何が起きているのか?~ネット犯罪、トラブルへの対処法~」
【講師】Web110 代表  吉川 誠司 
15:45~16:30 電子メールによる一方的な商業広告の送りつけ問題(いわゆる迷惑メール問題)に対応するため、
平成14年2月1日施行の「特定商取引に関する法律施行規則の改正」について
【講師】経済産業省商務情報政策局消費経済政策課 課長補佐  原 英史 
16:30~17:15 「事務局より」
  ホットライン参加団体との意見交換
  新規参加ご検討の団体へ説明
  今後の活動方針など 他


吉川氏 インターネットトラブル最新事例
「今ネットの世界で何が起きているのか?~ネット犯罪、トラブルへの対処法~」
【講師】Web110 代表  吉川 誠司 氏

 まず、ネットトラブル対策の有名サイトとしてご存知の方も多いWEB110の代表として5名のボランティアスタッフと共にネット上での様々なトラブル相談をされている、吉川 誠司さんに登場いただきました。
吉川さんは雑誌への寄稿、テレビ出演、講演や経済産業省消費者取引研究委員会、(財)消費者教育支援センター 消費者契約教育研究委員会の委員など多方面で活躍中です。
今回は「今ネットの世界で何が起きているのか?~ネット犯罪、トラブルへの対処法~」と題して、これまえで以上に巧妙に、且つ、複雑化するトラブルの現状について次のようなご報告がありました。
  • 巧妙化するネットオークション詐欺の手口と問題点
  • プロバイダ、ホスティング会社のセキュリティ意識
  • 看過できぬ国際電話トラブル
  • ワン切り急増の原因と課題
  • 悪質サイト恐喝の手口
  • 迷惑メールをめぐる各種問題点
 ネットオークション詐欺については、インターネットプロバイダーがオークションガイドラインなどの対策を実施したことにより件数が減っているが、「詐欺としての立件を免れようとする狡猾な手法をとる、常習犯がいる」と具体的な実例を上げ、その手口について解説がありました。「すべての入札者に対して直接取引きを持ちかける」「警察へ被害相談に行った入札者の一部に代金を返金する」「架空の被害話を持ち込んで追及を逃れようとする」ことにより、「警察が詐欺と断定し難くなる」巧妙な手口について紹介がありました。

 また、国際電話発信トラブルについては、物理的にダイアルアップが出来ないと考えられているPCのADSL利用者にも被害が及んでいる事例が紹介されたました。
「この手のトラブルは、ほとんどが特定の国際電話会社に集中している」ということで、電話回線が物理的にPCに接続していないのに国際通話料の請求が来るケースがあるとのこと。接続先の国番号は122「ASCENSION」であるが、この番号122は「マイライン・マイラインプラスの解除番号となっている」という紹介がありました。

 さらに、悪質サイト恐喝の手口として「自分でスパムメールを送っておいて他人にクレームをつける会社がある」ケースの紹介がありました。
電子メールによる恐喝の手口として以下のようなメールや郵便物を送りつけてくることがあるそうです。
「あなたが当社へ送ってきたメール等が保存されているコンピューターにウィルスが勝手に進入してきて、勝手に関係のない大量の人達へ・・・(中略)・・・メールを自動的に送りつけます。」
「当社でできることは、あなたが当社へ送ってきたメール等をコンピュータから削除することです。この場合、削除申請料が28,000円が必要となります。」
「削除申請料28,000円を現金書留で、下記へ郵送して下さい。」
「期限以内に当社へ削除申請料が必着しない場合には、それなりの状態のままでも意義なきものとみなします。」
「また、くれぐれも念を押しておきますが、料金を送らず迷惑をかけたらあなたの家または勤務先に当社の者が直接訪問し、御近所または縁故地にて法的処理を考えさせていただきますのでご注意ください。」
悪質サイトについては幾つかの実名とそのやり取りの一部始終について解説がありました。

 迷惑メール対策について、通信事業者側の対応と現状、特定商取引法改正と現状等について説明がありました。
迷惑メールの根底に潜む問題の1つとして、吉川さんはスパムウエアの存在について「スパム送信目的に特化した使用のソフトウエアの製造・販売が現行法では取り締まれないことにも原因がある」と指摘がありました。

 ますます、巧妙化するトラブルの手口に震撼するとともに、消費者団体、企業や行政などが一体となり、スピード感を持って取り組む必要があるのとの印象を受けました。

原氏 電子メールによる一方的な商業広告の送りつけ問題(いわゆる迷惑メール問題)に対応するため、
平成14年2月1日施行の「特定商取引に関する法律施行規則の改正」について
経済産業省 商務情報政策局消費経済政策課課長補佐  原 英史 氏

 次いで、経済産業省商務情報政策局消費経済政策課の原英史課長補佐から、平成14年2月1日に施行された「特定商取引に関する法律施行規則の改正」の改正に至った経緯と基本的な考え方、今後の対応の方向性等の説明がありました。

 特定迷惑メールについては「商売のやり方の問題と通信の問題の両方の側面があるが、(特定商取引法の対象範囲である)商売のやり方に着目して改正を行った」との説明がありました。
具体的な問題の事例として「電子メールの送受信に時間がかかるなど、不利益が生ずる」「商業広告によりトラブルに巻き込まれるケースがでてくる」「迷惑メールによって電子商取引の阻害要因になりつつある」との説明がありました。
また、「電子メールによる広告をネガティブにとらえている訳ではない。マーケティングなどにおいて一層メールを活用すべきだが、それが阻害されている」との指摘がありました。

 既に、一部の団体等から指摘を受けている「!連絡方法無!」という表示方法については、改正案の施行後は、認められないことになる、とコメントがありました。

 参加者からは、「何故、メール件名を広告にしたのか? ADVにしなかったのか?」、「海外からのメールの対策はあるのか?」、「受取拒否のメールを希望しない旨のメールを送信すると、メールが存在することを知らせることになり、消費者にとっては逆効果ではないのか?」、「議員立法との違いは?」など、多数質問がありました。

 消費者が表示義務違反していると思われるメール(違法メール)を受け取った場合には、財団法人 日本産業協会に送られてきたメールを転送し、情報提供することになっているが、その件数については「まだ正確な数値は出ていないが、(改正後から研究会の数日前までに)メールの数で1万弱、また、サイト数ベースで数百くらいであると思われる」とのご紹介がありました。
情報提供のあった事業者に対して経済産業省も追跡調査をするなど対策をとっているとの説明がありました。

20020304.jpg 「事務局より」

 今回の研究会に参加した出席者との意見交換を実施しました。
事務局から「今後は、より多くの団体に参加してもらい、相談事例の公示や、情報材料の提供をしてもらいたい」との呼びかけを行いました。

研究会の模様は、Webニュースにも掲載されましたのでご紹介します。

出所:japan.internet.com「最新ネットトラブル事例」
http://japan.internet.com/public/event/20020305/1.html
出所:ASCII24「トラブルの最新事例を紹介」
http://ascii24.com/news/i/topi/article/2002/03/05/634116-000.html?24
出所:ZDNet/JAPAN「スパム対策はできることから」
http://www.zdnet.co.jp/enterprise/0203/05/02030508.html

お問い合わせ先:インターネットホットライン連絡協議会 担当:大久保

【事務局】財団法人インターネット協会
E-mail: hotline@iajapan.org(事務局メール)
E-mail: seminar@iajapan.org(研究会受付専用メール)


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