インターネットを利用する方のためのルール&マナー集 - 迷惑メール対策編
出典:一般財団法人インターネット協会
(平成14年12月20日作成、平成20年12月1日更新)
インターネットを利用する方のためのルール&マナー集
「迷惑メール対策編」
まえがき
インターネットの世界では、古くからスパムメールやジャンクメールと呼ばれる迷惑メールが存在します。商業的な広告宣伝、勧誘などのダイレクトメールをはじめとして、政治や宗教的宣伝のメール、いたずらや嫌がらせのメール、不幸の手紙のようなチェーンメール、非合法なビジネスへの勧誘や情報の提供など、受信人の意思にかかわらず、一方的に繰り返し送りつけられるメールがそれに当たります。
現在、電子メールが利用できるのは、インターネットに接続されたコンピュータだけではありません。数の面から言えば、電子メールの主役はインターネットサービスの契約件数が5,000万件を超えた携帯電話/PHSへと大きく広がっています
1 。そして、プロバイダや学校、職場からインターネットを利用している人々を併せると、日本の人口のほぼ半数が電子メールを利用できるということになります。
迷惑メールの問題は、通信費用や設備負担が受信者にあるという点に加え、出会い系サイトへの勧誘やアダルト情報の掲載されたメールが子どもたちへ送信されてしまったり、特定個人や団体へのストーカー的嫌がらせ行為や誹謗中傷の場として悪用されたり、あるいは悪質商法や違法行為までおよぶ情報の提供、場合によっては通信事業者のシステムの機能を不全に陥れるなど、どれも複雑で深刻です。
こうした問題には、規制が必要な場合もあります。こうしたマイナスの面ばかりに注目して、規制に依存しすぎれば、表現の自由を阻害し、インターネットの活発なコミュニケーションや電子商取引を鈍化させてしまうおそれがあります。迷惑メールの対策は、規制に頼るだけではなく、インターネットの基本事項である自己責任原則をふまえ、1人1人が適切に行動することが望まれます。そこで、財団法人インターネット協会では、平成13年度基本問題研究部会からの活動の一環として、「インターネット利用のためのルール&マナー集 迷惑メール対策編」を作成しました。本ルール&マナー集は次のような目的で作られています。
一方的に送りつけられる電子メールを適切に処理し、
迷惑メールから派生する二次的被害を防ぎ、
自らが迷惑メールの発信者とならず、
迷惑メールの発信者を助長したりすることにならないようにし、
安全かつ快適にネットワークや携帯電話を利用できるようにする。
本編では、電子メール利用者への迷惑メール対策の啓蒙やマニュアルを作成する方のために素材や文例などを紹介します。本ルール&マナー集をご活用いただくことで、健全なネットワーク社会の発展のために役立てれば幸いです。
本ルール&マナー集の構成と使い方
本編は、「第I部 迷惑メールのあらまし」では迷惑メールの全体像を、「第II部 迷惑メールへの対策」では、迷惑メールを受信するユーザーの方に知っていただきたい知識、問題の切り分け方法や対策、そして自らが迷惑メールの発信者にならないための注意点を中心に記します。
目 次
第I部:迷惑メールのあらまし
見知らぬ相手から望みもしない内容のメールが届くことがあります。商品の宣伝や有料サイト利用の勧誘などの商業的な宣伝メールをはじめ、思想や宗教的な宣伝、いたずらメールや、コンピューターウィルスに感染して自動的にばらまかれてしまったメール、単純な間違いメールなどさまざまなものがあります。
このようなメールは、迷惑なメールだと言うことができます。
望みもしないのに届くメールのなかには、受信者にとって有益な情報や興味のある情報が書かれていることも時にはあります。迷惑かどうかは受信者の主観です。しかし、次のような被害を受けることから、多くの人々が不快感や迷惑を感じ、あるいはそれ以上の損害や危険なものとして受け止めています。
財産権侵害のおそれ:一方的に送りつけられてくるメールの通信費用は受信者が負担 (携帯電話のパケット通信料、プロバイダとの接続費用)
メールを整理するのに生じる手間
送りつけられたメールによって以前のメールが消えてしまう(携帯電話など、記憶容量が少ない端末)
同じ内容のメールが何度も繰り返し送られてくる
差出人が明らかではないために苦情を言うことができない
深夜や早朝に携帯電話メールの着信音で起こされる
自衛手段が限られている(アドレス変更など)
成人向けの表現を含む情報、未成年や子どもへの着信
悪質商法と思われるビジネスの勧誘や、違法と思われる商品の販売などの情報が送られてくる(保証金を差し入れる内職やサイドビジネスの勧誘、マルチ商法・ねずみ講の勧誘、債務整理、与信情報の抹消、不当な請求、わいせつビデオの販売など)
受信者に個人情報が漏洩しているなどの不安が生じる
大量のメール送信により通信システム全体に負荷を与え、通信事業者やシステムの利用者全体に影響が及ぶ
また、迷惑なメールには、いわゆる、いたずらメールも含まれます。軽度のいたずらから悪質なもの、中には犯罪性や違法性を帯びるものもあります。代表的なものには次のようなメールがあります。
嫌がらせ、ストーカー、脅迫メール
メール爆弾(大量のメールを送りつけたり、サイズの大きな添付ファイルを送りつけたりして受信者のサーバーに負荷を与える)
不幸のメール(チェーンメール)
デマメール
悪質なスクリプトが置かれたウェブページへのリンクのメール送信
この他に、ウィルス付きのメールなども実害を伴う迷惑メールの一種だといえます。
迷惑メールのほとんどは、商品やサービスの宣伝を目的とした広告・宣伝メールです。製品やサービスの売り込みばかりでなく、メールに書かれたURLから特定のホームページを訪れてもらうことが目的のものもあります。
電子メールの送信費用は、郵便や宅配便と比較するとごくわずかで、何万、何十万通ものメールを簡単に送信できます。広告や宣伝をするために電子メールが利用されるのは、わずかな費用でたくさんの人へ案内ができるということが、大きな理由の1つです。
しかし、広告・宣伝メールは、受信者の迷惑になり、企業のイメージを損なうおそれがあります。そうした心配をする一般的な企業は、受信する側に何らかの方法で確認をとってから、送信する方法をとっています。無差別に広告・宣伝メールを送信する企業は、営業上必要な場合を除けば、イメージの低下を覚悟せざるを得ません。
メールアドレスの収集は、本人から入手する場合とそうでない場合があります。
個人情報を提供する機会は日常数多くあります。例えば、次のような場合には自分から、氏名や住所、電話番号と共にメールアドレスを連絡先として提供しているとも考えられます。
買い物や飲食店などで記入する「お得意様カード」
商品購入時の顧客登録
会員登録
イベントへの参加
アンケートの回答や懸賞への応募
一方、本人の知らないうちに個人情報が収集されることもあります。これには次のような可能性があります。
上記のような方法で収集した名簿が転売されたり、名簿業者の間で取引されたりする
自分で作成したホームページや書き込んだ掲示板、参加したメーリングリストに掲載されているメールアドレスを特殊なソフトウェアなどによって収集されてしまう
この他に、機械的に文字を組み合わせたり、辞書にある言葉を組み合わせたりしてあてずっぽうのメールアドレスを作成して配信する方法もあります。こうしたやり方は「ディクショナリアタック」ないしは、「辞書攻撃」と呼ばれます。特に携帯電話で、電話番号をそのままメールアドレスに使用している場合には、こうした方法でアドレスが推測されてしまうことが多いようです。
これらの対策については、「迷惑メールへの対策:自己防衛に努める」を参照してください。
現在、迷惑メールを規制する法律は2つあります。
商品やサービスの宣伝を内容とするメールについては、「特定商取引に関する法律」に、また、特定電子メールを一時に多数の者に対して送信する場合には「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」で規制されています。これらの規制についてはそれぞれ付録で紹介します。
ここでは、主にパソコンや携帯電話の電子メールのユーザーが心に留めておくと良い迷惑メール対策について紹介します。
送られてきたメールの内容を信じるかどうか、その送信人を信じるかどうかは、受取人が判断すべきことです。
情報をどのように受け止め、どのように利用するかは、自己責任が原則で、これはメールにも当てはまります。得た情報の扱い方とその結果生じるリスクや責任は、原則としてその本人が負わなければなりません。
原則2:迷惑メールへの適切な対処は正しい知識から↑
迷惑メールには、さまざまな種類や内容のものがあります。
たとえば、宣伝・広告メールが受信者に取って有益なものであれば、送信者と受信者の両方に取って幸運なことです。これは迷惑メールとは言えません。
しかし、受信者にとって何の意味も無いメールであれば、特に不審な内容でなくても、迷惑メールになることがあります。迷惑の度合いは、千差万別で内容も多様であり、明確に善悪を区別できないこともあります。よって、メールの基本的なしくみを理解したり、一般に良いとされる対処法を知ったり、場合によっては、法律知識を学んでおいたりすることが求められます。一方、技術の進歩やサービスの変更、新しい法律や規制などによって、対処法が変わることもありますので注意が必要です。
迷惑メールを送りつけられたことが最初の被害とすれば、取り扱いにより生じる事は二次的被害といえます。送りつけは避けられませんが、二次的被害に遭わないようにすることは可能です。二次的被害とは、たとえばメールに記されているURLをクリックしたら問題のあるウェブサイトだったり、添付ファイルを開いたらウィルスだったり、内容を信じて詐欺などの被害に遭ったりすることです。このようなことは、自分で自分を守るしかないのです。少なくとも次のルールを守れば大きな被害は食い止められるでしょう。
【対策】:決して取り合わない
↑
身に憶えのないメールや不審なメールが送りつけられてきたら、まず次のことはしないように心掛けてください。
URLはクリックしない
添付ファイルは開かない
返信しない
URLをクリックしたことから望みもしないプログラムのダウンロードが始まったり、不適切なコンテンツが表示されたりすることがあります。また、添付ファイルはコンピューターウィルスの可能性があります。
二次的被害を防ぐために、メールに記されたメッセージが興味を惹くものであっても、信頼に足る 送信元から送られてきたものかどうかを慎重にチェックしましょう。
返信すると、自分のアドレスが存在することを送信元に伝えることになりますし、メールの署名から個人情報が流出することがあります。返信は十分注意してください。
中には、メールを送信して欲しくない場合には、送信不要の旨のメールを送るように書かれていたり、ホームページのアドレスをクリックするように書かれていたりするメールがありますが、メール自体が不審なものは、無視した方が良いでしょう。
【対策】:メールアドレスの管理を十分に
↑
メールアドレスはなるべく不特定多数の目に触れないようにしましょう。ホームページなどで不特定多数に公開する場合には、迷惑メールの被害を前提として、メールアドレスを2つ以上用意することや、迷惑メール対策ソフトやサービスを利用するなどの対策をします。
メールアドレスはなるべく不特定多数に公開しない
不特定多数に公開する場合、迷惑メールの被害を前提に
推測しにくいメールアドレスを使う(携帯電話)
携帯電話においては、電話番号のままのアドレスを使用しない、また容易に推測できるメールアドレスを使用しないのが有効な自衛手段です。メールアドレスには、英字と数字、ドットなどの記号を混在させるなどすれば、機械的な推測がしにくくなると言われています。
【対策】:ウィルス対策は万全に
↑
ウィルス対策ソフトをインストールして、ウィルスの侵入を防止してください。ウィルスは、軽度のいたずら程度のものから、使用しているパソコンやデータに重大な損害を与えるものまで、さまざまなものがあり、メールの自動送信などによって、他人のコンピュータにも感染させてしまうおそれがあります。
また、ウィルス対策ソフトのウィルス定義ファイルは、常に最新の状態にしておくことを忘れないでください。
ウィルス対策に関する情報提供サイトを付録で紹介します。
【対策】:メールソフトの振り分け機能やプロバイダの受信拒否機能(フィルタ)を活用する
メールソフトや携帯電話には、特定の文言を含むメールを特定のメールボックスに自動的に振り分ける機能があります。また、プロバイダによっては、特定の送信元アドレスや件名等でフィルタをかけ、自動的に破棄するよう指定できるサービスがあります。
迷惑メールの件名は、受信者にその内容を読ませるために、あたかも誰かの紹介であることを騙ったり、親しげな呼びかけの言葉を使ったりするなど、巧妙になってきています。
【対策】:やむを得ない場合アドレスを変更する
迷惑メールが著しく多い場合や、ストーカー的なメールが届く場合には、メールアドレスを変更するのもやむを得ない場合があります。
自己防衛と共に、迷惑メールの被害をそれ以上広げないことは、重要なマナーです。不審な広告宣伝メールを知人に転送したり、チェーンメールやデマメールを真に受けてしまったり、ウィルスを拡散してしまうのは、人間関係や信用に傷がつくことにもなりかねませんので、被害を広げないように努めましょう。
【対策】:幸福のメール・不幸のメールなどのチェーンメール、デマメールが届いたら自分のところで止めましょう
このようなメールでは、「メールの転送を止めたら、それまでのパケット料をすべて支払わなくてはならない」とか、「転送を止めたらただではおかない。誰が転送を止めたかはすぐにわかる」といった脅迫的な内容のものが多いようです。また、献血を呼びかけたり、ウィルス情報を扱っていたりと、善意を装ったチェーンメールもありますが、不特定多数への転送を呼びかけるものはデマであることが多いようです。
内容があまりに脅迫的であれば、受信したメールを、受信日時と送信者の情報(パソコンならヘッダー情報、携帯電話ならFrom欄のメールアドレス)をメール本文の冒頭に記載し、最寄りの警察署に相談してください。
【対策】:ウィルス対策を万全にして、ウィルス付きメールの拡散防止に努めましょう
ウィルスに感染すると自分の被害だけではなく、感染者のアドレス帳に記録されているアドレスに自動的にウィルスを送信してしまうことがあります。ウィルス対策ソフトをインストールして十分な対策を行ってください。
【対策】:内容によっては、他者に転送すると罰せられるものがあります
↑
ネズミ講に参加して、勧誘のメールを送付するのは違法です。絶対に転送しないでください。
【対策】:個人でメールサーバーを運営している人は、不正転送に利用されないようなセキュリティ対策が必要です
↑
違法な内容を含む電子メールを一度に大量に送信する場合には、サーバーの負荷や送信者の特定を避けるため、セキュリティ対策が不十分な他人のサーバーを悪用してメールの送信を行わせることがあります。これは、一般に「第三者中継(Third-Party Mail Relay)」、俗に「踏み台」と呼ばれています。
この第三者中継に悪用された場合、当該サーバーの運営者は、迷惑メール受信者や上流もしくは下流のISPなどの通信の妨げとなった場合には損害賠償の責を負うなど、転送者も非常に大きな被害を蒙る可能性もあります。
こうしたサーバーは、リレー制限のない(オープンリレー)メールサーバーと呼ばれる設定となっており、サーバー管理者として知識や対策が不十分であることにも原因があります。特に、常時接続の普及に伴い、セキュリティの不十分なサーバーの存在が問題となっています。
広告・宣伝メールや、一度に多数の相手に送信するメールは、「特定商取引に関する法律」や「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」によって、主に次のようなルールが定められています。
広告・宣伝目的のメールは、原則として事前に同意を得ているユーザーにしか送ってはならない(オプトイン方式)
受信拒否を受け付ける連絡方法は容易に認識できるように表示する
受信の拒否があった場合、その相手方には送信してはならない
これに従わないものは、違法なメールとなります。こうしたメールを受け取った場合には、所定の機関の窓口へ通知します(通知先は末尾の「付録」を参照してください)。
また、いやがらせ、脅迫的なメール、ストーカー行為に絡んだものなど、身の危険を感じるようなメールについては、周囲の人々や最寄りの警察などに相談しましょう。
迷惑メールの被害を少しでも軽減するために、プロバイダ、所轄の団体や公共機関などへ情報を提供すると、悪質な業者の取り締まりにつながることがあります
【対策】:プロバイダやネットワーク管理者への情報提供
プロバイダ(携帯電話会社を含む通信事業者)、企業のネットワーク管理者は、特定のアドレスからのメールを停止するなど、実際に発生している被害を排除してくれる場合があります。もし迷惑メールの深刻な被害に遭ったら、プロバイダやネットワーク管理者に相談しましょう。
【対策】:所轄団体や公共機関への情報提供
自分自身が迷惑メールの送り主にならないことも重要です。会社や商品などのプロモーションに携わる人は、不特定多数に送信する販促目的などのメールが迷惑メール化しないように注意しましょう。
【対策】:広告・宣伝メールの不特定多数への配信は規制に従う
一時に多数の相手に送信するメールは「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、特定商取引に定める宣伝・広告を行うメールは、「特定商取引に関する法律」によって規制されています。いずれも、法改正により平成20年12月1日より、ユーザーの事前同意なしに広告・宣伝メールを送信することを禁ずる“オプトイン方式”を導入し、違反には罰則を設けています。
迷惑メールには、簡単に大金が稼げる、何もしないでも収入が得られるなどのメッセージが含まれているものがあります。一般に簡単に大金が手に入るようなシステムはそれなりのリスクを負うものです。悪質商法が背後に隠れていることがあり、騙されないようにするには悪質商法の手口やリスクを知っておくことが大切です。例えば知らずにネズミ講に加担すると、法律違反となって罰せられることがあります。
【対策】:不当な請求は取り合わない
↑
いわゆる「不当な請求メール」は、受信者にとって身に覚えの無い請求内容を送りつけるメールです。たとえば、件名には「最終和解案」や「最終通知」などと書かれ、深刻なビジネス文書の体裁をとっていて、「あなたが利用したサイトの料金が未払いだ」など、ありもしない理由で代金の支払などを請求しようとします。
身に覚えがなければ、こうしたメールについては一切取り合う必要はありません。不用意な返事や抗議は、かえって相手にメールが届いていることが分かり、また別の被害に遭う可能性もあります。警察に通報することも検討してください。
【対策】:ネズミ講には絶対に加担しない
↑
電子メールは非常に勧誘に便利なので、多くのネズミ講に利用されていますが、ネズミ講には絶対に参加しないでください。
【対策】:マルチ商法の勧誘はメールでしない・参加にも十分注意
↑
マルチ商法の勧誘を電子メールで行うと「特定商取引に関する法律」に違反し、懲役や罰金が課せられることがあります。
【対策】:保証金付きサイドビジネス/内職には十分気をつけて
↑
「趣味と実益を兼ねて高収入を得ませんか」、「新しいスタイルの在宅ワークです」、「仕事の合間にできるサイドビジネスです」などの宣伝広告文句で、仕事の斡旋と引き換えに教材やパソコンなどを売りつけたり、入会金、保証金、講習会費などの名目でお金を出させ、まったく仕事を斡旋せずに連絡を絶つ業者がいます。電子メールによるこうした勧誘も後を絶ちませんので、興味があっても十分な裏付けを得てから契約しましょう。
【対策】:債務整理など弱みに付け込むビジネスには注意
「あなたの債務を整理します」などという宣伝文句のメールによって、弁護士などの存在を匂わせ、債務を低利で一本化したり、債権者との交渉を低価格で代行したりするようなサービスの案内があります。しかし、債権者との交渉も返済もせず、依頼人から振込まれたお金は着服し、依頼人の振り込みが少しでも遅れると、それを口実に弁護委任契約を一方的に解除し、辞任してしまうということがあります。民事事件は警察も介入できないため、こうしたサービスの利用には注意が必要です。
【対策】:名簿や与信情報などの個人情報操作の勧誘は危険
主に海外からのメールで、クレジットカードの支払遅れなどの履歴を抹消したり、与信枠を広げたりするなど、個人情報を操作するような案内が電子メールで届くことがあります。常識的にこうしたことは簡単にできることではありませんので、取り合わないようにしましょう。
【対策】:ベンチャービジネスへの投資詐欺に注意
海外からの電子メールによって、「有望なビジネスモデルを持つ企業家がこれから会社を設立するのでエンジェルを募集している」、「確実に株式公開するネットベンチャーへ投資機会がある」などの宣伝文句で投資家を募る電子メールが届くことがあります。こうした投資の案内については十分な下調べの後に行うことをお奨めします。
【対策】:詐欺に遭わないために
その他、薬品やアダルトビデオの販売の勧誘メールに申し込み、お金を振り込んだところ、まったく商品が届かず業者とも連絡が取れないなどの詐欺事件も報告されています。オンラインでの取引は、メールの内容だけを信じずに信頼できる相手先かどうかを確かめることが大切です。また、取引の方法を、代金引換や、代金後払いにするなどの工夫も効果があります。
詐欺ではありませんが、日本では認められていない物品を斡旋している場合もあるので注意が必要です。禁止されている薬品やビデオ、さらには麻薬の類いまで輸入代行と称しているものまであります。これらは、所持しているだけでも犯罪となることがあります。
原則2:公序良俗、道徳に反する成人向け情報に注意↑
過激な言葉や写真を使うアダルト系の広告・宣伝メールのなかには、法律に触れるような写真が使われているものがあります。こうしたメールで宣伝される商品やサービスには、合法的ではないものがあります。例えば、海外の法律に従って提供される商品やサービスでも、日本の法律では罰せられることがあります。また、国際電話を利用した情報提供サービスを行うものがあり、利用すると高額な通信料金を請求されるようなものもあります。
男女の出会い情報を紹介するメールなどにも、公序良俗や道徳に反したり、法律に反したりする内容のうたい文句がかかれているメールがあります。こうした出会いのサービスのなかには犯罪に巻き込まれたりする事例も報告されています。
原則3:いたずら、嫌がらせ、ストーカーには具体的な対策を↑
【対策】:メール爆弾はプロバイダ・管理者に相談
↑
メール爆弾は代表的ないやがらせメールの1つです。被害を受けた場合には、加入しているプロバイダのサポート窓口に相談します。また、送信元が加入しているプロバイダの管理者に相談することも有効な対抗策です。
直接送信者に抗議するのは、かえって相手をエスカレートさせる可能性があります。
【対策】:嫌がらせメール・脅迫メール・ストーカーメールは多くの人に相談
掲示板に掲載した意見やホームページの内容について、対立する考えを持つ人や、匿名の第三者から度を越した批判や嫌がらせを受けることがあります。不特定多数の目の前で行われる批判や嫌がらせに誹謗中傷が含まれていると「侮辱罪」や「名誉毀損」の罪に該当することがあります。
また、嫌がらせとして、個人情報を勝手に不特定多数の目に触れるようにメーリングリストに公表したり掲示板に掲載することは「プライバシー侵害」として不法行為となります。
他に、たとえば、恋愛関係のもつれにより、3ヶ月で5,000通もの嫌がらせメールを出したストーカー事件も報告されています。メールの内容に脅しが含まれていれば、「脅迫罪」が適用される犯罪となるので、こうしたメールは、周囲の人をはじめ、プロバイダや警察に知らせて対策を相談するようにしましょう。
【対策】:メーリングリスト等への第三者登録は防御不能、すばやい対処を
いたずらや嫌がらせを目的として、特定のメーリングリストや掲示板に、自分の名前やメールアドレスではなく、他人の名前やメールアドレスを登録したり発言したりすることによる被害が報告されています。これは、嫌がらせメールに相当する行為ですから、メーリングリストの主催者に直ちに事情を話し、メールの配送を停止してもらいます。
原則4:迷惑メール以上の被害が生じたらプロバイダ、消費者センターや警察へ相談↑
悪質商法の勧誘メールや、いやがらせ、ストーカー、脅迫などの被害に遭った場合には次のような対策が考えられます。
【対策】:メールの送り主自身には抗議しない
かえって相手の嫌がらせがエスカレートする危険があります。
【対策】:プロバイダに相談する
嫌がらせなどが書き込まれた掲示板の管理者に対策を求めたり、自分が加入しているプロバイダに相談したりしてみます。プロバイダによっては、メール爆弾などをサーバーから削除してくれる場合もあります。また、相手の加入するプロバイダの管理者に連絡するのも有効です。嫌がらせメールについて相談・連絡するときには、そのメールを証拠として送付しましょう。その場合には、メールのヘッダ情報も忘れずに添付します。
【対策】:警察への通報、情報提供
電子メールの商業広告をきっかけとして詐欺にあったり、ねずみ講勧誘のメールを受信したり、あるいはメールで嫌がらせを受けている場合には、警察に通報します。その場合、受信した電子メールなどの通信記録を証拠として提出しましょう。
受信メールは転送するだけでなく、印刷したり、フロッピーに保存したりするなどして手許でも保管しましょう。また、脅迫などで生命財産の具体的な危険に直面した場合には、110番通報しましょう。
出会い系サイトへの勧誘やアダルト情報、違法な物品などの販売広告が子どもや青少年へメール送信されてしまうことがあります。情報の有害性だけでなく、他人や情報・サービスの信頼性が判断できない子どもや、まだ社会に対する認識の不十分な青少年にとって、メールの内容を信じたり、情報・サービスを利用したりすることがさまざまな危険を招く可能性があります。こうしたことから子どもを守るには、メールソフトや携帯電話などの使い方について、保護者の方の教育と配慮が求められます。アダルトサイトや出会い系サイトなどの有害情報が子どものメールボックスに届くのは、現在のところ完全に防ぐことはできません。
【対策】:保護者が意識しておくべきこと
↑
パソコンや携帯電話などを子どもに持たせ、子どもがメールを使う場合に、保護者として次のような事実を特に意識しておくべきでしょう。
迷惑メールを防ぐ完全な対策はない
有害情報の送りつけに対する防御手段は完全ではない
携帯電話には有害情報を遮断するフィルタリングソフトはない
メールの返信によって相手に身元がわかることもある
正しい知識がなければ、自分が迷惑メールの送信元になる
【対策】:子どもがメールを使う場合の「きまり」を作る
↑
【対策】:子どもがメールを使う場合の「きまり」を作る
子どもに電子メールを使用させる場合は、最低限次のようなことを子どもにメールを扱う場合の「きまり」として守るようにさせましょう。
知らない人からのメールには返事をしない(知らない人に道で声を掛けられた場合と同じ)
不審なメールがきたら保護者に知らせる
不審なメールのリンクをクリックしたり、メールに添付されているファイルを開いたりしない
迷惑メールはすぐに削除する
メールだけの友達には、本名、住所、自宅電話番号、顔写真は絶対に教えない
自分だけではなく家族や友人の個人情報を守る
アダルト向けのコンテンツにはアクセスしない
出会い系、友達探しのサイトにはアクセスしない
有料サイトやコンテンツを購入する前、した後、誤ってしてしまった場合には、必ず保護者に報告
脅されるなど異変があればすぐに相談
迷惑メールには有害なコンテンツを含むものがあります。パソコンのメールであれば、後述のフィルタリングソフトなどである程度は防ぐことが可能です。
【対策】:携帯電話は要注意 - 世の中の危険を教える
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携帯電話は大人だけでなく、子どもや青少年の間でもコミュニケーションツールとして広く利用されるようになりました。そうしたなかで、携帯電話やそのメールがきっかけとなり犯罪に巻き込まれる事例が増えています。前掲の「きまり」に加え、特に中学生以上は、次のようなことから生じる危険について話し合っておくのが良いでしょう。
出会い系サイト - 犯罪に巻き込まれること
成人向けサイトやコンテンツへのアクセス - 法律に違反すること、Q2サイトなどを通じた不当な料金請求などの危険が生じること
商品の宣伝メールの信頼度 - 法律で売買や所持が禁止されている物品(未承認医薬品などの薬物、わいせつ書籍やビデオ、著作権違反ソフト等)の売買や所持の危険
【対策】:携帯電話の利用明細による確認
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保護者が契約人となって子どもに電話機を使わせている場合には、利用料金の明細などで使用状況を確認する方法もあります。
【対策】:メールアドレスはなるべく公開しない
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子どものメールアドレスは、大人のメールアドレス以上の管理が必要です。子ども任せにせずに、不審なメールが届き始めたら、メールアドレスを変更するなどの措置が講じられるようにしておきます。また、なるべくメールアドレスはホームページなどで公開しないように指導するのも大切です。電話番号や住所、所属する学校などの個人情報が流出しないように、メールソフトなどの設定に注意します。
【対策】:子どものメールアドレスは複雑に
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携帯電話のメールアドレスは、英数字ピリオドなどを含む複雑なものを使わせるようにします。少しでも迷惑メールが届く可能性を低める努力が必要です。
【対策】:着信可能メールアドレスを限定する
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携帯電話会社やプロバイダによっては、着信可能メールアドレスを限定できるところがあります。このような機能を使用して、子どもに有害情報が届くのを抑制します。
パソコンからのインターネット利用では、暴力や差別、ポルノなどのインターネットの有害情報を遮断するために、使用するパソコンにフィルタリングソフトを導入したり、プロバイダのフィルタリングサービスを利用したりするのは有効な対策です。こうしたソフトウェアやサービスを活用して少しでも有害情報に触れる機会を抑制します。フィルタリングソフトは、さまざまなソフトメーカーから販売されています。
友人探しや恋人探しに出会い系サイトの情報サービスが利用されることがあります。出会い系サイトのサービスは、見知らぬ者同士が、名前も知らないまま知り合うことになります。しかも、この匿名性のため、多くの犯罪が生まれています。ダイレクトメールをきっかけとした出会い系サイトの利用には相応のリスクがあることを子どもに指導しましょう。
メールでしか話したことのない見ず知らずの相手を信用するのは危険です。相手の素性を確認しないまま、自分の本名、住所、電話番号などを安易に明かすのは、思わぬ事件に巻き込まれかねません。メールだけの会話で相手を信用するのは絶対に避けるように指導しましょう。
普段から、子どもに異変があればすぐに家族や先生に相談するように話しましょう。子どもが何らかのトラブルに巻き込まれたときは、ただちに学校や最寄りの警察に相談しましょう。
情報提供については、原則として、特定商取引法違反(事業者による違反)についての情報は(財)日本産業協会で、特定電子メール法違反(送信者による違反)についての情報は(財)日本データ通信協会で受け付けます。どちらに送信すれば良いかわからない場合には、いずれかに送ります。
あらかじめ請求や承諾をしていない電子メール広告を消費者に送信することは「特定商取引に関する法律」の改正(平成20年12月1日施行)により、禁止されています。承諾した覚えのない電子メール広告が送られてきた場合は(財)日本産業協会産業協会の情報提供受付アドレスまで転送してください。
また、受信を拒否したのに、同じ事業者から再度電子メール広告が送られてきた場合は同協会の「再送信禁止義務違反の情報提供受付」までお送りください。
送信に同意した覚えのない広告宣伝メール、表示義務違反、送信者情報を偽って送信されたと思われるメールは、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の改正(平成20年12月1日施行)により、禁止されています。同意した覚えのない電子メールが送られてきた場合の情報提供については、(財)日本データ通信協会が受け付けています。
警察庁生活安全局生活環境課生活経済対策室
ネズミ講や悪質と思われる商法の広告や勧誘のホームページを閲覧した場合や電子メールで悪質商法の勧誘を受けた場合、ネットワーク上で悪質な商法を敢行している業者を知っている、またこれらの者に騙されそうになった場合等、インターネット上における悪質商法に関する様々な情報は「警察庁生活安全局生活環境課生活経済対策室」が窓口となって情報の提供を受け付けています。
ネズミ講などの相談窓口
ネズミ講や悪質と思われる商法の広告や勧誘のホームページを閲覧した場合や電子メールで悪質商法の勧誘を受けた場合、ネットワーク上で悪質な商法を敢行している業者を知っている、またこれらの者に騙されそうになった場合等、インターネット上における悪質商法に関する様々な情報は「警察庁生活安全局生活環境課生活経済対策室」が窓口となって情報の提供を受け付けています。
悪質商法に関するご相談、お問い合わせ等については、最寄りの都道府県警察の「悪質商法被害相談電話」にご連絡ください。
マルチ商法などの相談窓口
マルチ商法、内職・モニター商法などでトラブルにあった場合、経済産業省や全国の消費生活センターで相談を受け付けています。
ウィルスに関する詳しい対策方法は、情報処理振興事業協会(IPA)のウィルス対策のページを参照してください。
ウィルスに感染した場合は、ウィルス対策ソフトメーカーのウェブサイトや、コンピュータ緊急対応センター、日本コンピュータセキュリティ協会などで対策や状況が確認できます。
「インターネットホットライン連絡協議会」では、インターネットのトラブル全般について、その相談先を探すことができるホームページを提供しています。
民法(公序良俗違反、不法行為)
刑法(脅迫罪、名誉毀損罪、信用毀損罪、侮辱罪、業務妨害罪)
特定商取引に関する法律
無限連鎖講の防止に関する法律
不正アクセス行為の禁止などに関する法律
青少年保護条例
迷惑防止条例