4.1. Outbound Port25 Blocking実施前
前項の対応が功を奏したのか、反応は当初想定していたよりもかなり好意的で、基本的な内容の質問が大多数を占めました。「Outbound Port25 Blockingって何ですか」、「私は影響を受けますか」、「私は何をすればよいのですか」、「費用はいくらくらいかかるのですか」といった問合せが多く、その度に基本的な内容の説明を実施してきました。
Outbound Port25 Blockingに対する問い合わせはカスタマーサポート部門で受ける全体の問合せの5%強であり、さらにその中の97%程度がこの種の問合せでした。
ISP事業に従事する社員は、「SMTP」「Port25」「認証」といった言葉に慣れていますが、普段そういった専門用語とは無関係にインターネットを利用しているお客様にも内容を理解していただく必要があります。しかし、時間をかけて説明すれば納得していただけるお客様は多く、やさしく噛み砕いて説明することの大切さを改めて痛感しました。
4.2. Outbound Port25 Blocking実施後
実施後、6月までの4ヶ月間で見ると、全体の問い合わせ比率は5%弱とあまり変化はありませんでしたが、Outbound Port25 Blockingに関する問合せの半数強が「メールが送信できなくなった」といった内容に変化しました。事前に連絡を尽くしたつもりでしたが、電子メールやダイレクトメールを読んでおらず、実際にメールを送信できなくなってから気づいて問い合わせるケースも意外と多いことに驚かされました。極少数派ではありますが、7月になってから気づいて問い合わせてきたケースもありました。
これらの場合も、きちんとご説明することで設定変更していただいた結果、ほとんどがメールを使えるようになっており、お客様対応上は実施前と大きく変化はありませんでした。
このOutbound Port25 Blockingを要因として実際に退会されたお客様が存在することも事実ですが、実際に実施してみた感触としては、利便性の裏に隠された危険性や脅威などをきちんと説明し、代替手段を提示することで概ねご理解を得られたものと考えています。大切なのは、ニュースなどで報道されている脅威だけではなく、ゾンビ端末などの表面化しない脅威もきちんと説明し、ご理解いただく努力を惜しまないことであると考えています。
《参考》〜問合せの事例紹介〜
レアなケースですが、カスタマーサポート部門に寄せられた問合せの事例を3点紹介します。
(1) インターネット接続にWAKWAKを利用し、メール送信に他社ISPをご利用のお客様の場合
メール送信をWAKWAK経由に変更したが、変更前にSMTP認証を設定しており、設定変更時にSMTP認証の設定変更を忘れたため、メール送信ができなくなった。設定変更ではサーバ情報の変更に意識が集中してしまいがちだが、ISP側は想定されるケースを全て考慮した上でお客様サポートを実施する必要がある。
(2) 同様のケースで設定データを間違える場合
設定変更時に、メールアカウントやパスワードを全角で入れてしまうトラブルも結構多い。表示するフォントによっては半角と全角の区別がつかない場合があり、見た目は正しく設定できているように見えるため、気づくまでに時間がかかる場合がある。
(3) ダイナミックDNSなどでメールサーバを運用しているお客様が、WAKWAKサーバをリレーさせる場合
WAKWAKではメールの送信と受信のプロセスを分けており、リレーする場合はMXレコードではなくAレコードを引いてコネクションを張る必要がある。一部のお客様にはDNSレコードにMXやAがあることを知らないケースもあれば、ソフトウェアが必ずMXを引いてしまうケースもある。後者の場合はリレーの設定をFQDNではなくIPアドレスで記述しなければならない。
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