「15歳だった私のトラブル」
13年前私は高校の入学祝いに両親からパソコンを買って貰った。
親が寝静まった深夜、当時流行っていたチャットルームにはいる。15歳、大人たちの中には危険なことなのだと教えてくれる人もいたが、不特定多数の人に個人情報を漏らしてはいけないなど、考えもつかなかった。
気の会う人達と少人数のチャットを繰り返すうちに、東京に住む大学生の男性に好意を持たれた。年上の男性に好意を抱かれることも嬉しかったし、どうせ会うことはないのだからと、嘘をついて自分をよく見せようとした。その結果、私に会いにくるという彼に、やばいぞと感じて、住む場所も年齢も偽っていたけど、実は地方に住む高校生である事を打ち明けた。それでも会いにくるという彼に、私は嘘をついた後ろめたさから住所を教えてしまっていた。本当に会いにくるわけないよと思いながらも、何だか怖くなって、数日チャットルームを覗くことはなかった。するとある日、彼から私宛に小包が届いた。開けてみると、MDウォークマンやデジタルカメラなどを高価なプレゼントと手紙が入っていた。手紙には何月何日に君の住む町の駅で待ってますと書かれていた。
私は、怖くなって、はじめて両親に相談した。経緯を聞いた父が、怒鳴るでもなく静かにいった。「そういう状況なら、会いに行くべきだ。父さんと母さんが一緒に行ってやるから。お前はどう謝るか考えなさい。」
彼が駅で待つといった日の朝、車に乗って駅に向かう車中、怖さと嘘をついた罪悪感、そして両親への気まずさで吐きだしそうだった。そして駅に着き、彼であろう人を見つけると、恐る恐る近づいた。父は車を降りて、後ろから見守っていてくれた。勇気を出して◯◯さんですかと話しかけ、顔もほとんど見ずに謝った。そして受け取れませんと小包を返すと、やはり少しムッとした表情で私を見ているような気がした。とても怖かった。
父が、彼に私のことを詫び、私には車に戻るように言い、説得して帰してくれた。私は車に戻ると涙がでてきた。車に戻ってきた父に謝ると、「勉強になったな」とだけ言い、車を走らせた。
それから、深夜のチャットには顔を出さなくなった。失敗から学んだおかげで、慎重になり、その後、インターネットでのトラブルはない。
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