「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

③親子ルール作り部門

gold最優秀 「初めての利用規約」  大阪府 山口 あゆみ(はなずきん)


誕生日プレゼントにiPodTouchを息子に購入したのは中学1年生の冬のことでした。
ずっと欲しかった音楽プレーヤー。ずっと欲しかったスマートフォンと同じような機能。
これで、友達と一緒にパズドラができる!と息子は大喜びでした。

とても嬉しそうな開封の儀式。

箱から取り出したiPodTouchを眺めながら聞きます。
「おかーちゃん、電源入れていいの?」

同梱された小さなマニュアルを手渡して、「まだあかんよ、充電が先って書いてあるよ」と言うと、少し残念そうな顔をしながらパソコンとケーブルで接続して充電開始。

まだかな、まだかな。と、充電が完了するまでがとても長い時間のようでした。

その間に、親子の決め事をきちんとしておこうと、息子と使い方についての話をしました。

1.初期設定はおかーちゃんと一緒にする。
2.ブラウジングはパソコンからだけから。iPodTouchのは使えなくする。
3.ご飯中やおやつの時間は操作しない。
4.充電しながら操作しない。
5.音楽やゲームを購入するときは、コンビニのiTunesカードを利用する。
6.必ず利用規約をちゃんと読む。
7.パスワードとアカウントは大切に扱う。
8.お手伝いをするときに、ゲームしてるからと言わない。
9.LINEは慣れるまではおかーちゃんとおとーちゃんとだけ。
10.パズドラは学校の友達以外つながらない。

さぁ、充電完了!と、電源投入の儀式。
黒い画面にリンゴのマークが浮かび上がりました。

言語設定や国の設定などを画面の中の文字を読みながら進めていくと、
「おかーちゃんWi-Fiって出てきた。どうしたらえぇん?」
じゃぁ、貸してごらんと子供用に設定した接続時間を制限したアクセスポイントの接続設定を行って返すとまた質問が来た。
「Apple IDってどうしたらえぇん?」
画面を見るとメールアドレスが必要と書いてあったため、メールアドレスを一緒に取得。
メールアドレスを取得する際に、『利用規約』の読み方や注意点を説明しながら次に『利用規約』が出てきたときは自分で読むチャレンジを勧めてみた。

フリック入力で行う文字入力はまだまだぎこちなく、たどたどしいなと思いながらもゆっくり見守っていると、パスワードを決める必要が出てきた。
「パスワードってどうしたらいいん?」
自分で考えてみるように促すと、初回返ってきた言葉は自分の名前。それはダメだよすぐにばれちゃうからと、数字を交えながら辞書にないような言葉を使うようにと教える。
「うーん…おとーちゃんと、おかーちゃんと、俺と…名前の最初の文字を並べて…」
頭をひねって考えた文字列を教えてくれた。それ、辞書に載ってる。
「あ」
結局、パスワードを決めるだけで30分経過。
それでも、自分で考えてパスワードを決めるというのは初めての体験で、少し自慢げに見えた。

そして、画面にあの言葉が現れた『利用規約』。

「わからんかったら聞くからな」
iOSやiCloudといったものを利用する際に必要な事柄や、法律用語など中学生にとっては初めての言葉の群れに眉をへの字にしながら読み進める。
「リバースエンジニアリングって何?これなんて読むん?」
などなど。質問を繰り返すこと1時間半。
90分かかってようやく利用規約を読破。
「もうえぇわー。新しいアプリ入れたらまたこんなん読まなあかんの?めんどくさ」
パスコード設定や諸々、どうしても入れたかったパズドラを入れるころには3時間以上経過していました。

勿論、パズドラも利用規約を一生懸命読んで今では友達との連絡ツールとしても利用しているようです。

これから先、まだまだ彼は色々な利用規約を読み、いろいろな体験をしていくことと思います。
でも、初めて一緒に読んだ利用規約のことを思い出しながら、一歩ずつ、いろいろなサービスと触れ、経験を積んでいってほしいなと願っています。




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