「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

②トラブル克服部門

silver優秀 「小さな影と大きなカンチガイの話」  東京都 飴野祈斗


--- とあるSNSでの出来事だ。ある日の夜、友人Aは嘆いていた。

「そんな・・どうして・・・」

趣味の話や日常の話などで賑わうSNSに流れた一言。何があったのか、と私は友人Aに聞いた。
どうやら彼女は友人Bに嫌われてしまったらしい。友人BとのメールやSNS等の連絡手段を、全て友人Bによって前触れもなく突然絶たれたそうだ。

「何がいけなかったのかな。私と話しをするのは嫌だったのかな。言ってくれればよかったのに」

友人Aは「そういえばもうすぐ私の誕生日。お母さんがおいしいごはんをつくってくれるって。なんだろう。でもごめんね。何も食べたくないや」という書き込みを最後に、それ以降SNSに顔を出す事は無かった。

友人Aと友人Bは一度も喧嘩したことが無い。喧嘩の種を撒くような事もなかった。お互い毎日楽しそうにしていて、とても仲良しだった。それなのに何故このような事が起きてしまったのか。私は謎で仕方がなかった。何か原因があるに違いない。仲直りさせる方法はないのか。

次の日、私は原因を探すことにした。時間を遡れば何かわかるかもしれないと思い、友人BのSNSの履歴を調べてみた。すると気になる文章を見つけた。

「Aちゃん、最低だよ。そんな気はしていた。けど、嫌いなら直接私に言えばいいのに。そうだよ、どうせ私は人見知りで後ろ向きの人間だ。わざと見せるように影で悪口言うなんて、あなたとはもう一緒にいたくない」

どういうことだろうか。友人Aは本当にそんなことを言ったのだろうか。
今すぐにでも友人Aにその事について確認をとりたかった。が、しかし私には予定が入っていた。アルバイトだ。1日中、開店から閉店まで働くつもりでいたので全く手が出せないでいた。それも1日だけではなく、1週間近く続いている。このままでは仲直りさせる事はできない。もしかしたら、一生友人Aと友人Bは仲直りすることが無いかもしれない。そこで私と同じように、どうしたら2人を仲直りさせることができるだろうと考えていたという友人Cに連絡をすることにした。友人Aに確認してほしい、と。

アルバイトが終わり、メールを開くと友人Cから返事が着ていた。友人Aは確かに愚痴という形で陰口をSNSに書き込んだが、友人Bには言ってないという。友人Bが、友人Aの愚痴を自分の事だと思い、このような行動に出たのだろう。しかし時間が経ってしまっているから誤解を解いても元に戻るかどうか怪しい。そして今私たちがこうして連絡を取り合うのはいいことなのだろうか、出来れば誤解を解きたい。一度あなたと友人Aと私で話し合ってどうするかを考えたほうがいい。との事だった。

話し合った結果、友人Aは友人Bとの連絡が取れないので、代わりに友人Cが友人Bに事情を説明し、友人Aの謝罪と仲直りしたいという思いとメールで伝える事になった。残念ながら私は次の日もアルバイトだったので友人Cに全てを託す事にした。すっかり塞ぎ込んでしまった友人Bに果たして思いは届くのだろうか。祈りながら友人Cはメールを送ったという。

数日後、友人Bに思いは届いたらしく、泣きわめくかのように、

「私はなんて愚かなのだろう。Aちゃんごめんなさい。できる事なら仲直りしたい。そしてまた沢山話をしたい」

という書き込みがあった。そしてしばらくして、SNSに友人Aは帰ってきた。

「こちらこそ誤解を招くような事を書いてごめんなさい。そして私もBちゃんと仲直りしたい」

仲直りができたようだったようで、私と友人Cは安心した。また今までの賑やかな日常が戻ってくる。トラブルをそのままにしないで何とかしようと行動して良かったと心底思う。

今回は私自身、直接被害に遭うという事や、被害を与える事はなかったが、自分もいつか、ひょんなことでトラブルを招いてしまうかもしれない。同じようなトラブルを起こさない為にも、SNSで何かを書き込むときは、例え其処が自由な空間だとしても、気を付けようと思った。


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