「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

①使いこなし部門

silver優秀 「震災時のSNS」  千葉県 佐藤クウキ


私が15歳、中学三年生のときに東日本大震災がありました。

当時、私は仙台市に住んでいたので電気、水道、ガスといったありとあらゆるライフラインは寸断されました。多くの人がテレビを見ることが出来なかったため、近所でもさまざまな情報が錯綜し市内は大混乱でした。

このような非常事態に活躍したのは、私の手元にあった充電ばっちりの携帯電話でした。 ガラパゴスケータイと呼ばれていた当時の折り畳み式携帯電話には様々な機能が盛りだくさん入っていました。ラジオで被害情報や炊き出し、飲料水の配布情報などの正確な情報を仕入れることもできましたし、画面の光を使えば、街頭の無い暗闇でも行動できるくらいの光源を確保することもできました。

そのような携帯電話のツールの中で最も活躍したのは、ソーシャルネットワークサービスです。ソーシャルネットワークサービスで書かれている情報は必ずしも正確ではないとよく耳にしますが、困っているという情報に嘘はありませんでした。「○×小学校がテント設営したいのに人手不足で困っている」という書き込みを発見して行ってみると、既に多くの人がその書き込みを見て集まっていました。ソーシャルネットワークサービスを積極的に利用していた中高生は、震災で学校が休校になっていたため、その多くが暇を持て余していました。避難施設では力仕事が必要な現場での人手不足が深刻だったので、ソーシャルネットワークサービスでの書き込みはそのような中高生に効果テキメンだったようです。書き込みを見た多くの若い力がすぐに集まり、ボランティア活動はすぐに片づきました。そのときの小学校の関係者の方が非常に喜んでいたのがとても印象に残っています。

しかし、携帯電話でできないことがありました。連絡がつかない家族や遠くにいる親戚とはなかなか連絡が取れなかったのです。メールを送ってもサーバーが混雑していて送れませんし、電話も回線が混んでいて何回かけてもつながりませんでした。ここでも活躍したのはソーシャルネットワークサービスでした。どうにか連絡が取れる方法はないかと書き込みを見ていたところ「公衆電話は回線の混雑関係なく連絡が出来る」という書き込みを見つけました。半信半疑で試してみたところ、確かに繋がったのです。私のようにこの書き込みに助けられた人も少なくはないと思います。

震災がきっかけでLINEには既読チェック機能が付き、現在ではその機能に悩まされる人も多く存在すると言いますが、この機能があれば、返信が出来なくとも見たかどうかで生存が確認できる、そして位置情報があれば今いる場所も特定できるなど、災害時には役に立つ機能が盛りだくさんです。また、ツイッター、フェイスブックは利用者が当時より増加しているので、広い範囲にかけて情報を発信することが出来ます。このようなSNSがインフラとして普及していくことは災害の多い我々の国にとって強力な武器になるのではないかと考えます。


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