「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

④青少年のインターネット利用部門

gold最優秀 掲示板への書き込み  東京都 けんじ

数年前、中学生や高校生に家庭教師をしていた時期があった。その頃、生徒たちからこんな相談を受けた。

「ネットの掲示板に書き込みをしたら、否定や攻撃をされて、すごく悲しかった」

ネット上にはいくつも掲示板があり、巨大掲示板になると、すごい量の書き込みがされている。なかには、鬱屈を晴らすためか、否定や攻撃ばかりをする人もおり、そのターゲットになってしまうと、深く傷ついてしまう。

私の見た印象では、誠実で繊細な人ほど、掲示板の否定にダメージを受けやすい。誠実で繊細な生徒たちは、見たこともない人からの否定に、まともに傷ついてしまう。中学生や高校生だとまだ自尊心の守り方が分からず、相手からの感情的な攻撃をまともに受止めてしまうのだ。

本来なら「掲示板の利用はやめておきなさい」と言いたいところだが、中学生や高校生にもなると、誰にも言えない相談や悩みをネット上で吐き出したくなる。どうしてもネットの掲示板を利用したくなった場合、私は中高生にこう助言している。

「肯定を基本に書き込みをしよう。否定やNOを基準に書き込むのではなく、YESを基本に書き込みをしよう」

どんなに荒れた掲示板でも、自分だけは肯定的意見を述べる。どんなに否定ばかりの掲示板でも、自分だけはYESを基準に意見を述べる。そうすることによって、「相手を受容した」という満足感が生まれ、それと同時に自己尊厳を守る意識も養えるのだ。

否定的意見に対して、否定でやり返すと、際限のない否定合戦になる。そうではなく、自分だけは肯定、自分だけは受容、といったスタンスで書き込むと、相手がどんな反応を示しても、自分は自分といった自己受容の感覚が養えるのだ。掲示板の場合、多くの人は単純なストレスの発散の目的で相手を否定していることが多い。それをまともに受止めるのではなく、あたかも自分がカウンセラーのように受容と肯定を繰り返すのだ。そうすることによって、掲示板でむやみにダメージを受けなくなり、受容と肯定をしたという満足感が味わえる。

これからも中高生が掲示板に書き込む際には、受容と肯定のスタンスを推奨したいと思っている。

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