「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

④青少年のインターネット利用部門

silver優秀 勇気を出して!  千葉県 世界の山ちゃん

私は、塾の講師をやっている。ある日、塾の生徒が「先生、ちょっといいですか?」と聞いてきた。普段の彼は、元気一杯で質問を聞きに来ることもあるが、いつもより声に元気が無く私は不思議に思いながら「どうしたの?何かわからない問題があった?」と答えた。彼は恥ずかしそうに、スマホを私に見せた。スマホの画面には「トロイの木馬に感染しました。アプリをインストールして除去してください。」と書かれたメッセージが表示されていた。

最初に私は、「あー、ウイルスに感染されちゃったかー」と思い、彼になんて説明しようと思った。彼は私に「こんなこと親にも友達にも言えない。でもスマホは使いたいし、アプリは有料でお金は払えないしどうすればいいかわからない。」と目に涙を溜めながら私に訴えた。この時に私はなんとかして彼の問題を解決したいと思い、授業終わりにインターネット検索をしてみた。すると、同様の被害にあっている人が対処法を紹介していた。結論から言うと、トロイの木馬には感染していなかった。これは「ウイルス感染しているよ」と言う虚偽のメッセージを受信者側に送りアプリをダウンロードさせ、お金を払わせようとする手口の一つだったのだ。

私は、大学で情報を扱うものとして、こんな単純なトラップになぜ気づかなったと反省しながら彼に「心配はいらないからメッセージを消して大丈夫だよ。」と伝えた。私と彼はスマホの画面にあるメッセージを消して、その後にも何も動作に問題がないことを確認した。生徒がいつものようなとびっきりの笑顔で「先生ありがとう!」と言った。私は、「気にしなくていいよ!でも一つ約束してくれる?」と尋ねた。「なに?」と彼は聞く。「次に、何かインターネットで怖い思いをしたら、お父さんお母さんに相談できる勇気を持って欲しいんだ。」私は言った。インターネットは便利なものだが危険性もある。安全に使えるように普段から怪しいサイトにはいかないようにしていても、ひょんなことからインターネットトラブルに巻き込まれるケースが多いと思う、そんな時はけっして自分が悪くはない。

被害者だから、勇気を持って親や学校の先生など近くの大人に相談できるようになる社会になって欲しいと思う。私はそう思い、彼に尋ねた。彼は笑顔で、「うん!そうするよ!でも家のお父さんお母さんが解決できなかったら、また先生に相談するね、俺にとっては先生も近くの大人だもん!」と言った。私は、彼に負けないくらいの笑顔で「もちろんいいよ!」と言った。

今の時代は、知らない間にインターネットトラブルに巻き込まれる。そんな時怖くて親や先生に言えないと言う状況を作ってはならないと私は強く感じる。私の中でのインターネットのルールは単純だ。トラブルに巻き込まれたら勇気を出して近くの大人に相談しようと言うことだ。

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