「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」
受賞作品

①使いこなし部門

gold最優秀 ママを救いたい  千葉県 きぽママ

「幸せじゃない」第一子を出産して半年が過ぎた頃、泣き止まない赤ちゃんをずっと抱き締め途方に暮れていた。子供が生まれる前は社会との触れ合い、大人と話す機会が毎日当たり前だった。しかし、子供が生まれてからというもの喋れない赤ちゃんとの二人きりの時間がとても長く感じた。なぜ泣いているのかも分からない、質問をしても答えてくれない。どんどん私の思考回路は母親である私が悪いのではないかとまで責め立てた。外に出る機会もめっきり減った私は拒食症にもなっていた。

異変に気付いた夫が病院を勧めてくれ「産後鬱」と診断された。それからは服薬をし、大人に話を聞いてもらう事で少しずつ回復していった。一番の薬は「話を聞いてもらう事」だったのだ。毎日が楽しくなってきたある日、急に不安が過ぎった。「私以外のママも同じように産後鬱になるのかもしれない。

それならば一人でも多くの閉じこもりママを外に出す機会を作りたい」私は即、行動した。目の前にあるのは会社のパソコンでもない、電話でもない、自分自身のスマホだ。会社員でもない今の私に出来る事はSNSを利用し、一人でも多くの産後ママを外に出してあげる事しかなかった。早速、仲良しのママ友に話を持ちかけ、Instagramを利用しママ会の参加者を募った。#(タグ)から産後ママのInstagramを拝見しては少しでも悩みがありそうなママに優しく声を掛けた。

そうするとたった一ヶ月で35人のママから参加希望メールが届いたのだ。もちろん皆、初対面。そこでSNSの危険性を考慮し、一人一人にママ会の趣旨を伝え、理解してくれたママだけを集めた。ママ会当日は子供達の手遊び歌、ビンゴゲーム、月齢ごとのママトークを催した。お弁当を食べながら、同じ月齢のママと悩みを分かち合う。「うちもあるある。大変だよね」それだけでママは救われるのだ。皆が笑顔で話している。このママ会を開催出来て良かったと心から思った。

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しかし、このママ会を開催するにあたって決して良い事ばかりではなかった。SNS特有の匿名を使い「金目的」と陰口を書かれる事もあった。もちろん私は無銭だ。それでも今の私には一人でも多くのママを救いたい、命を守りたいという思いしかなかった。SNSというツールを利用するという事は陰口を書かれたり、批判をされたり、見ず知らずの人と会うという危険性も伴っている。だからこそ慎重に一人一人とやりとりをし、趣旨を理解して貰う事が大切だった。

名残惜しまれながらお開きになったママ会。お見送りをしていた時、あるママが涙を浮かべて話していた姿が今も脳裏に浮かぶ。「ママ会開催してくれてありがとう。誰も友達が出来なくて閉じこもっていたから…本当にありがとう」こんな私が誰かの役に立てた。SNSがなければ開催する事は難しかったママ会。私はこれからも慎重にSNSを利用し、一人でも多くのママを救っていきたいと思っている。

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