報道資料
平成18年5月31日 
財団法人インターネット協会 


「インターネット・ホットラインセンター」の運用開始
=違法・有害情報の一元的な通報受付窓口により、
インターネットを安心・安全に利用できるようにする=


 財団法人インターネット協会(理事長:金杉明信)は、今や社会インフラとなったインターネットを安心・安全に利用できるようにするために、インターネット上の違法・有害情報の一元的な通報受付窓口「インターネット・ホットラインセンター」(以下、「ホットライン」と略す)を設置し、6月1日(木)14:00から運用を開始します。通報受付はウェブページで行われ、インターネットに接続されたパソコンのみならず携帯電話からもアクセスできます。

  インターネット上の違法・有害情報に対する「ホットライン」とは、インターネット利用者から通報を受け付け、その情報に対して一定の基準に基づいて判断を行い、警察への通報やプロバイダや電子掲示板の管理者等に削除依頼等を行う仕組みをいいます。既に、欧米では児童ポルノ等の違法情報に対して同様の仕組みが民間や政府により運用されており、アジアの一部諸国でも運用が始まっています。

図「ホットラインセンター」の活動


1. インターネット・ホットラインセンター設置の背景

近年、インターネット上における児童ポルノや規制薬物の広告等の違法情報や爆弾の製造方法、殺人等の違法行為の請負等のように、公共の安全や秩序に対する危険を生じさせる情報(有害情報)の流通が社会問題となっています。これらの違法・有害情報に対しては、警察がサイバーパトロールを実施し違法情報の発信者の取締りを行っているほか、プロバイダや電子掲示板の管理者等による違法・有害情報に対する送信防止措置、受信側による情報のフィルタリング等の対応が行われています。

しかしながら、インターネット上には膨大な量の情報が日々新たに流通していることに加え、海外に設置されたサーバーに蔵置されているものがあります。これらに対処するためには、インターネット利用者が発見した違法・有害情報の通報を一元的に受け付け、内容を調査・評価し、その結果に基づき、しかるべき措置を依頼することにより、違法・有害情報に関する情報への対応をより効果的に実施できるようにする機関が存在することが望まれます。

一方で、協力を求められるインターネット利用者の立場からは、違法情報を警察に通報する際には氏名等を明らかにする必要があることなどから通報に消極的になることも想定され、有害情報については、関係機関が対応しているものの、適切な機関を選択することが難しい場合があるなどの問題点もあります。

このような状況の下、警察庁の平成17年度総合セキュリティ対策会議において、インターネット上の違法・有害情報への対応を効果的かつ効率的に推進していくためには、広くインターネット利用者から違法・有害情報に関する情報提供を受け付け、一定の基準に従って情報を選別した上で、警察への情報提供、電子掲示板の管理者等への送信防止措置依頼等を行う仕組み(ホットライン)の導入が必要である旨の提言がなされました。

この提言を受け、当協会において「ホットライン」の導入に必要な準備作業を行うため、総務省及び警察庁の協力を得て、有識者、関係業界団体等の関係者から構成されるホットラインセンター設立準備会を本年4月に設置し、「ホットライン」の対象とする違法・有害情報の範囲及びその際の判断基準、手続等を定める「ホットライン運用ガイドライン案」をとりまとめ、4月から5月にかけて、広く意見の募集を行ったところです。

なお、本ガイドライン案については、同準備会において、寄せられたご意見を踏まえ、一部を修正して確定いたしました。*平成18年5月31日「ホットライン運用ガイドライン案」等に対する意見の募集結果について をご参照ください。

2.インターネット・ホットラインセンターの役割

「ホットライン」では、インターネット利用者から受け付けた情報について、主として次のような対応を行います。

(1)警察への情報提供
インターネット上における流通が刑罰法規に違反する疑いがあると「ホットライン」が判断する情報、特定の犯罪に関連する情報(法禁制品の販売に関する情報等)その他の犯罪関連情報、自殺関連情報等について、犯罪捜査、犯罪予防、人命保護等に資するために警察に情報提供します。

(2)プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する対応依頼
違法・有害情報のうち一定の範囲の情報について、プロバイダや電子掲示板の管理者等に対して送信防止措置等の対応を依頼します。

(3)関係機関等への情報提供等
人権侵害、知的財産権侵害等に係る通報等他の機関・団体において処理することが適当なものについては、専門的な対応を行っている関係機関・団体に対して情報提供することとします。例えば、名誉毀損、プライバシー侵害情報については法務省人権擁護機関に、知的財産権侵害情報については各権利者団体等に情報提供することが考えられます。

(4)国際連携による違法情報の処理
これまでインターネット上の違法情報が海外のサーバーに蔵置されていた場合には、警察において外国の警察機関を通じ、削除依頼等が行われており、「ホットライン」の運用開始後においても、違法情報については、原則として従来どおりですが、これを補完する取組みとして「ホットライン」において、INHOPE(Internet Hotline Providers in Europe Association)メンバー国に対しては、INHOPE を通じて削除依頼等を行うことが考えられます。

3.インターネット・ホットラインセンターの運用

通報の受付けはウェブページ(http://www.internethotline.jp)で行われ、インターネットに接続されたパソコンのみならず携帯電話からもアクセスできるようになっております。通報内容に対しては、分析担当者が発信元等について調査を行なった後、複数の弁護士から構成される法律アドバイザーにより違法情報・有害情報に該当するか否かの判断がなされ、その結果に従って違法情報であれば警察へ通報/プロバイダや電子掲示板の管理者等への送信防止措置依頼を行い、有害情報であればプロバイダや電子掲示板の管理者等へ契約に基づく対応依頼を行うこととなります。

通報情報に係るインターネット・ホットラインセンターにおける対応状況については、通報が匿名で行われた場合であっても、通報時にウェブページに表示される参照番号を入力することにより、表示されるように工夫する予定です。

また、警察への情報提供や、プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する対応依頼の電子メールは、「ホットライン」が正しい発信者であることを認証できるようにするために電子署名付きで送付します。

インターネットを安心・安全に利用できるようにするために、プロバイダや電子掲示板の管理者等のみならず、多くのインターネット利用者のご協力、ご支援を期待するものです。

4.問い合わせ・連絡先

インターネット・ホットラインセンター 大久保、吉川

問い合わせフォーム

以上   

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