ケータイメールはショートメッセージの延長であったために、メールアドレスの初期アドレスとして電話番号を採用しているケースが多く見受けられました。電話番号によるメールアドレス(電番アドレス)は、ユニーク性を保つのに便利である反面、電話番号さえわかればだれでもその相手にメールを送ることができます。
迷惑メール送信者はこの点に着目し、アドレス収集の労力を必要とせず、電話番号をランダムに変化させてメールを送信することで大量かつ効率的な迷惑メール送信を行ってきました。携帯各社では、この対策として、ユーザに対するメールアドレス変更の推奨や、初期アドレスをランダムな英数字へ変更する事で対応しています。
auでは、初期アドレスに電番アドレスを採用していなかったため、Eメールにおいては電番アドレス攻撃を受けてもユーザに迷惑メールは届きませんが、前述で紹介した「Eメールお知らせ機能」はEメールから電話番号でCメール宛に送信することが可能であったことから格好のターゲットになりました。Cメールはショートメッセージサービスという特性上、電話番号でのやりとりが必須のサービスであるため、メールサービスと同様にアドレス変更を行うという対策ができませんでした。したがって、やむなく2001年12月に「Eメールお知らせ機能」のサービスを廃止しています。
電番アドレスによる迷惑メール送信が各社の対策で一段落すると、迷惑メール送信者は送信先メールアドレスを人名など存在しそうなアドレスや数字を組み合わせて大量なアドレスリストを作成して送信してくるという方法(いわゆる辞書攻撃のような方法)がとられるようになりました。このメールの対策として、メール指定拒否・指定受信のフィルタ機能を導入して対処を行いました。ただし、この方法で防ぐには限界があり、本送信方法はいまだ抜本的に解決されていない課題となっています。
迷惑メール送信者は、メールフィルタ機能により効率的にメールが送信できなくなってくると、より精度の高いアドレスリストの収集を試みるようになりました。また、メール送信時にはFromアドレスを携帯のドメインになりすまして送信をするという方法をとってメール受信者がフィルタ機能を利用しにくくなるような対応を行ってきました。事業者は、この対策としてなりすましフィルタを導入して、インターネットから携帯宛ドメインを使って送ってくるメールをフィルタリングする機能を提供し対抗しました。auでも、2002年7月になりすまし規制機能をリリースして対策を行っています。
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