出典:財団法人インターネット協会
(平成14年12月20日作成、平成20年12月1日更新)
インターネットを利用する
方のための
ルール&マナー集
「迷惑メール対策編」
目 次
リンク・転載・引用は自由ですが、
電子メールにてお知らせ下されば幸いです。
ご意見 も募集中です。

ルール&マナー集のページへ
e-mail rule@iajapan.org
Copyright (C) 2002 Internet Association Japan
戻る次へ
第II部:迷惑メールへの対策
 ここでは、主にパソコンや携帯電話の電子メールのユーザーが心に留めておくと良い迷惑メール対策について紹介します。
迷惑メールが送られてきたら
原則1:内容の取り扱いは自己責任
 送られてきたメールの内容を信じるかどうか、その送信人を信じるかどうかは、受取人が判断すべきことです。

 情報をどのように受け止め、どのように利用するかは、自己責任が原則で、これはメールにも当てはまります。得た情報の扱い方とその結果生じるリスクや責任は、原則としてその本人が負わなければなりません。
原則2:迷惑メールへの適切な対処は正しい知識から
 迷惑メールには、さまざまな種類や内容のものがあります。

 たとえば、宣伝・広告メールが受信者に取って有益なものであれば、送信者と受信者の両方に取って幸運なことです。これは迷惑メールとは言えません。

 しかし、受信者にとって何の意味も無いメールであれば、特に不審な内容でなくても、迷惑メールになることがあります。迷惑の度合いは、千差万別で内容も多様であり、明確に善悪を区別できないこともあります。よって、メールの基本的なしくみを理解したり、一般に良いとされる対処法を知ったり、場合によっては、法律知識を学んでおいたりすることが求められます。一方、技術の進歩やサービスの変更、新しい法律や規制などによって、対処法が変わることもありますので注意が必要です。
原則3:自己防衛に努める
 迷惑メールを送りつけられたことが最初の被害とすれば、取り扱いにより生じる事は二次的被害といえます。送りつけは避けられませんが、二次的被害に遭わないようにすることは可能です。二次的被害とは、たとえばメールに記されているURLをクリックしたら問題のあるウェブサイトだったり、添付ファイルを開いたらウィルスだったり、内容を信じて詐欺などの被害に遭ったりすることです。このようなことは、自分で自分を守るしかないのです。少なくとも次のルールを守れば大きな被害は食い止められるでしょう。
【対策】:決して取り合わない
 身に憶えのないメールや不審なメールが送りつけられてきたら、まず次のことはしないように心掛けてください。
  • URLはクリックしない
  • 添付ファイルは開かない
  • 返信しない
 URLをクリックしたことから望みもしないプログラムのダウンロードが始まったり、不適切なコンテンツが表示されたりすることがあります。また、添付ファイルはコンピューターウィルスの可能性があります。

 二次的被害を防ぐために、メールに記されたメッセージが興味を惹くものであっても、信頼に足る 送信元から送られてきたものかどうかを慎重にチェックしましょう。

返信すると、自分のアドレスが存在することを送信元に伝えることになりますし、メールの署名から個人情報が流出することがあります。返信は十分注意してください。

中には、メールを送信して欲しくない場合には、送信不要の旨のメールを送るように書かれていたり、ホームページのアドレスをクリックするように書かれていたりするメールがありますが、メール自体が不審なものは、無視した方が良いでしょう。
【対策】:メールアドレスの管理を十分に
 メールアドレスはなるべく不特定多数の目に触れないようにしましょう。ホームページなどで不特定多数に公開する場合には、迷惑メールの被害を前提として、メールアドレスを2つ以上用意することや、迷惑メール対策ソフトやサービスを利用するなどの対策をします。
  • メールアドレスはなるべく不特定多数に公開しない
  • 不特定多数に公開する場合、迷惑メールの被害を前提に
  • 推測しにくいメールアドレスを使う(携帯電話)
 携帯電話においては、電話番号のままのアドレスを使用しない、また容易に推測できるメールアドレスを使用しないのが有効な自衛手段です。メールアドレスには、英字と数字、ドットなどの記号を混在させるなどすれば、機械的な推測がしにくくなると言われています。
【対策】:ウィルス対策は万全に
 ウィルス対策ソフトをインストールして、ウィルスの侵入を防止してください。ウィルスは、軽度のいたずら程度のものから、使用しているパソコンやデータに重大な損害を与えるものまで、さまざまなものがあり、メールの自動送信などによって、他人のコンピュータにも感染させてしまうおそれがあります。

 また、ウィルス対策ソフトのウィルス定義ファイルは、常に最新の状態にしておくことを忘れないでください。

ウィルス対策に関する情報提供サイトを付録で紹介します。
【対策】:メールソフトの振り分け機能やプロバイダの受信拒否機能(フィルタ)を活用する
 メールソフトや携帯電話には、特定の文言を含むメールを特定のメールボックスに自動的に振り分ける機能があります。また、プロバイダによっては、特定の送信元アドレスや件名等でフィルタをかけ、自動的に破棄するよう指定できるサービスがあります。

 迷惑メールの件名は、受信者にその内容を読ませるために、あたかも誰かの紹介であることを騙ったり、親しげな呼びかけの言葉を使ったりするなど、巧妙になってきています。
【対策】:やむを得ない場合アドレスを変更する
 迷惑メールが著しく多い場合や、ストーカー的なメールが届く場合には、メールアドレスを変更するのもやむを得ない場合があります。
原則4:広げない
 自己防衛と共に、迷惑メールの被害をそれ以上広げないことは、重要なマナーです。不審な広告宣伝メールを知人に転送したり、チェーンメールやデマメールを真に受けてしまったり、ウィルスを拡散してしまうのは、人間関係や信用に傷がつくことにもなりかねませんので、被害を広げないように努めましょう。
【対策】:幸福のメール・不幸のメールなどのチェーンメール、デマメールが届いたら自分のところで止めましょう
 このようなメールでは、「メールの転送を止めたら、それまでのパケット料をすべて支払わなくてはならない」とか、「転送を止めたらただではおかない。誰が転送を止めたかはすぐにわかる」といった脅迫的な内容のものが多いようです。また、献血を呼びかけたり、ウィルス情報を扱っていたりと、善意を装ったチェーンメールもありますが、不特定多数への転送を呼びかけるものはデマであることが多いようです。
■用語解説:【チェーンメール】
「このメールを何日以内に何人に対して転送してください」といった内容のメールがチェーンメールです。
チェーンメールを止めたことを理由に、料金の支払い義務が発生したり、危害を加えられたりすることはありません。送信者は誰が転送を止めたのかを突き止めることはまずできませんし、実際ほとんどの人は転送を止めているのです。
「XXXX.xxxというファイルはウィルスの可能性があります。自分のPCでみつけたら直ちに削除してください。」といった内容のチェーンメールが流れることがありますが、実際にファイルを削除すると、システムが正常に動かなくなったといった事例があります。チェーンメールであると同時にデマメールであることも多いようです。ウィルス情報は、信頼できる情報元のもの以外は、信用しないほうが良いでしょう。
大切な友人や知人、顧客などに送ってしまうと、信用を失うことになりかねません。
どんな内容であれ、チェーンメールの転送は止めましょう。
 内容があまりに脅迫的であれば、受信したメールを、受信日時と送信者の情報(パソコンならヘッダー情報、携帯電話ならFrom欄のメールアドレス)をメール本文の冒頭に記載し、最寄りの警察署に相談してください。
【対策】:ウィルス対策を万全にして、ウィルス付きメールの拡散防止に努めましょう
 ウィルスに感染すると自分の被害だけではなく、感染者のアドレス帳に記録されているアドレスに自動的にウィルスを送信してしまうことがあります。ウィルス対策ソフトをインストールして十分な対策を行ってください。
■用語解説:【ウィルス】
コンピュータウイルスは、コンピュータやソフトウェアを動作させなくしたり異常な動作を引き起こすために設計開発されたプログラムです。このウイルスに感染すると、作成したファイルが消えたり、システムが動作しなくなったり、ウィルスが添付されたメールを自動的に送信したりするような症状がコンピュータに現れます。

ウィルスには、「マクロ型」、「トロイの木馬型」、「ワーム型」、「VBSワーム型」、あるいは複合型などさまざざまなものがあります。電子メールから感染するウィルスは、添付されて送られてきた.exeファイルや、.vbsファイルなどの添付ファイルを実行してしまったり、マイクロソフト社のオフィス製品のファイル(.doc, .xls)などの添付ファイルを開いてしまうことによって感染します。
【対策】:内容によっては、他者に転送すると罰せられるものがあります
 ネズミ講に参加して、勧誘のメールを送付するのは違法です。絶対に転送しないでください。
【対策】:個人でメールサーバーを運営している人は、不正転送に利用されないようなセキュリティ対策が必要です
 違法な内容を含む電子メールを一度に大量に送信する場合には、サーバーの負荷や送信者の特定を避けるため、セキュリティ対策が不十分な他人のサーバーを悪用してメールの送信を行わせることがあります。これは、一般に「第三者中継(Third-Party Mail Relay)」、俗に「踏み台」と呼ばれています。

 この第三者中継に悪用された場合、当該サーバーの運営者は、迷惑メール受信者や上流もしくは下流のISPなどの通信の妨げとなった場合には損害賠償の責を負うなど、転送者も非常に大きな被害を蒙る可能性もあります。

 こうしたサーバーは、リレー制限のない(オープンリレー)メールサーバーと呼ばれる設定となっており、サーバー管理者として知識や対策が不十分であることにも原因があります。特に、常時接続の普及に伴い、セキュリティの不十分なサーバーの存在が問題となっています。
原則5:違法メールや犯罪性のあるメールは通知を
 広告・宣伝メールや、一度に多数の相手に送信するメールは、「特定商取引に関する法律」や「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」によって、主に次のようなルールが定められています。
  • 広告・宣伝目的のメールは、原則として事前に同意を得ているユーザーにしか送ってはならない(オプトイン方式)
  • 受信拒否を受け付ける連絡方法は容易に認識できるように表示する
  • 受信の拒否があった場合、その相手方には送信してはならない
 これに従わないものは、違法なメールとなります。こうしたメールを受け取った場合には、所定の機関の窓口へ通知します(通知先は末尾の「付録」を参照してください)。

 また、いやがらせ、脅迫的なメール、ストーカー行為に絡んだものなど、身の危険を感じるようなメールについては、周囲の人々や最寄りの警察などに相談しましょう。
原則6:迷惑メールの被害を少しでも軽減する
 迷惑メールの被害を少しでも軽減するために、プロバイダ、所轄の団体や公共機関などへ情報を提供すると、悪質な業者の取り締まりにつながることがあります
【対策】:プロバイダやネットワーク管理者への情報提供
 プロバイダ(携帯電話会社を含む通信事業者)、企業のネットワーク管理者は、特定のアドレスからのメールを停止するなど、実際に発生している被害を排除してくれる場合があります。もし迷惑メールの深刻な被害に遭ったら、プロバイダやネットワーク管理者に相談しましょう。
【対策】:所轄団体や公共機関への情報提供
 「インターネットホットライン連絡協議会(http://www.iajapan.org/hotline/)」などの団体に相談したり、法律や法令、条例などで定められている情報提供窓口機関、消費生活センターなどへ相談したりすることも有効です。相談機関情報は付録で紹介します。
原則7:自分自身が迷惑メールの送り主にならない
 自分自身が迷惑メールの送り主にならないことも重要です。会社や商品などのプロモーションに携わる人は、不特定多数に送信する販促目的などのメールが迷惑メール化しないように注意しましょう。
【対策】:広告・宣伝メールの不特定多数への配信は規制に従う
 一時に多数の相手に送信するメールは「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、特定商取引に定める宣伝・広告を行うメールは、「特定商取引に関する法律」によって規制されています。いずれも、法改正により平成20年12月1日より、ユーザーの事前同意なしに広告・宣伝メールを送信することを禁ずる“オプトイン方式”を導入し、違反には罰則を設けています。