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スパム対策の取り組みにおける課題
・スパム対策の取り組みにおける課題
・スパムの性質
・電子メールのアーキテクチャ
・スパムのアーキテクチャ
・スパムをコントロールするための実践的取り組み
・責任確認
・認証標準
・協力のサポート
・謝辞
■ スパムの性質

人々はスパムが深刻な問題だということには同意しますが、その定義について一致した意見を持つことは難しいようです。しかし、UBE(Unsolicited Bulk E-mail:未承諾一括送信電子メール)とするのがおそらく最も便利でしょう。[1] スパム発信者は、大量のメッセージを、そのコンテントを要求していない多数の異なる受信者に送信します(興味深いことに、ほとんどのスパム発信者は、宛先にメッセージが届くかどうかを個別のレベルでは気にしていません。送信した内容が、十分な割合で宛先に届きさえすればよいのです)。

スパムは、インターネットの技術標準に準拠し、望まれている正当なメッセージと技術的にはまったく変わらない内容を持つことができます。したがって、標準に違反していたり他の異常な特性を持っていたりするスパムが今日一般的だったとしても、こうした異常に基づいて検出を行う取り組みでは長期的なメリットは得られません。スパム発信者は適応性が高く、有効性のある最も簡単な方法を採用するからです。しかし、スパムは常にわれわれの社会慣習に反します。したがって、スパムに対する、標準の策定などの長期的視野の予防的かつ技術的な対抗策は、こうしたことに対する社会的な決断を先導するのではなく、それらの決断に従うものでなければなりません。

他の社会的な問題と同様に、われわれはスパムを完全に排除することはできないにしても、おそらくコントロールはできるでしょう。これは、われわれが、許容できる水準にスパムを抑制する方法を追求しながら、社会的地平の一部として常にスパムが存在することに順応しなければならないことを意味します。スパムを検出して排除する取り組みは何年にもわたって行われてきました。有効かつ限定的な成果を示した技術もありますが、そのほとんどは短期的なものでした。言い換えれば、スパムをコントロールするためのこれまでの数多くの試みは、いずれもスパムを世界的に減らすには至っていないのです! したがって、われわれは新しく提案されるどのようなスパム対策についても慎重にならざるを得ません。また、スパムをコントロールするためには、相補的な一連の技術と、スパム発信者がそれぞれの手法を継続的に適応させるのに合わせて、それらの技術を継続的に適応させていくことも必要になるでしょう。つまり、新しい対策を評価する際には、スパム問題解決の最終解決策(FUSSP:Final Ultimate Solution to Solve Spam)の候補としてではなく、その段階的な利点を考慮しなければならないことを意味します。

グローバルなインフラストラクチャを変えていくには長い時間がかかり非常にコストもかかります。提案される対策には複雑な技術を要するものもあれば、継続的に相当な管理作業を必要とするものもあります。中には、エンド・ユーザに対して重荷となるような条件を課すものさえあります。したがって、われわれが展開する仕組みは、スパム発信者がそれに適応を試みた後でも、確実に長期にわたって十分なメリットをもたらすものでなければなりません。また、開発コストがリーズナブルで、継続的な管理も限定的で、使用も簡単である必要があります。対策案の有効性を評価するに当たっては、スパムが問題となっていなかった場合でも、それが望ましい仕組みであるかどうかを考えるとよいでしょう。「望ましい」という答えであれば、その対策案は全般的な戦略的メリットがあるということであり、スパムへの対抗はその採用に緊急性を加えるだけのことです。

インターネットは、われわれ全員の相互のアクセスを格段に向上します。共同作業や、専門コミュニティの形成、個人的なやり取りにとってはすばらしいことです。しかし、われわれのプライバシーの侵害およびオンラインでのセキュリティに対する脅威の面では問題です。残念ながら、メリットとデメリットは表裏一体となっています。電子メールをコントロールするためのわれわれの取り組みは、その利点までも損じないように慎重に行う必要があります。さらに言えば、われわれの取り組みは、われわれがまだ思い至っていないような革新的なメリットが被る可能性のあるダメージを抑える必要もあります。

スパムの発信者は、メッセージが1つ増えてもほとんどコストがかかりません。電子メールを、手紙を送ったり電話をかけたりするのと同じように、メッセージごとに送信者に直接課金すればよいと考えるのは簡単です。コストがかかれば一括送信のような乱用に対する防壁となります。しかし現実には、電子メールは長い歴史を持つ別の種類のサービスであり、選択肢は異なるものとなります。電話や郵便は、高度に集中化された公的な運営機関を有し、その利用料金は直接の実際の経費をまかなうことをベースにしています。対照的に、電子メールは高度に分散化されたサービスです。公的な機関による仲介の必要がなく、やり取りを行う個人のそれぞれのシステムが直接互いに通信します。追加料金を課金するとしたら、それらも実際のサービスに基づくものでなければなりません。また何らかの「税」を課したとしても、それはそれでまた別の問題が生じます。たとえば、誰がそのお金を、何のために受け取るのでしょうか。

電子メールの自由度と、人間の新しいコミュニケーション手段をサポートする能力を維持するには、現在の自然発生的な電子メール交換のオープン・モデルを維持しなければなりません。したがって、今後インターネットのメールはおそらく2つの論理的なサブセットに分かれていくと考えられます。1つは、信頼できる責任確認が可能な参加者で構成され、もう1つにはその他の全員が含まれます。信頼できる参加者に対しては、チェックやフィルタリングを緩和できるかもしれません。それよりも重要なのはおそらく、問題が生じたときに、信頼できるアイデンティティからのメールは、自動的に拒否されずに通常通りに配信され、その間に発信元についての照会が行われることが考えられます。

 


[1] Hoffman, P. and D. Crocker, “Unsolicited Bulk Email: Mechanisms for Control,” Internet Mail Consortium, UBE-SOL IMCR-008, http://www.imc.org/ube-sol.html, revised May 4, 1998.

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