■ 電子メールのアーキテクチャ
インターネット・メールは単純なモデルに基づいています。つまり、ユーザの世界と伝送の世界を分けて考えます。誰もが誰にでもメッセージを送信できます。基本サービスには中心的な権威機関はなく、発信者、受信者および運営者による認証を必要としません(通常、電話および郵便サービスでは、一般に手紙の送り手や電話の発信者の認証を行わないことは注目に値します)。
図1に示すように、このモデルは次を区別するまでに成長しました。
- MUA(Mail User Agents)。エンド・ユーザを表します。
- MTS(Mail Transfer Service)。1つ以上のMTA(Mail Transfer Agents)から成り、SMTP(Simple Message Transfer Protocol)を使用します。[2、3]
- MSA(Message Submission Agent)。新規メールを送信します。[7]
- Notification HandlerまたはBounce Handlerは、失敗通知など、返された伝送レポートを処理するMUAです。Handlerのアドレスは、メッセージ送信時にMSAによって指定されます。[11]
- MDA(Message Delivery Agent)を使用したメール配信。ユーザ固有の配信動作指定を伴う場合があります。[8, 9]

●図1 インターネット・メールのアーキテクチャ
電子メールの目的は、MUA間でメッセージをやり取りすることです。ユーザから見れば、電子メール・クライアント(MUA)がユーザの直接経験するすべてです。ネットワーク管理者にとっては、MTSソフトウェアが関心の範囲となります。
中核となる電子メール・メッセージ・オブジェクトも単純な枠組みを持っています。コンテントは次のものから成ります。
- 構造化されたテキスト形式のメタ情報。これはヘッダと呼ばれ、アドレス指定、発信日、一意のメッセージ識別子、コンテントに関する任意の形式の記述などのフィールドがあります。[4、5]
- 任意の形式のASCIIテキスト行。これはボディ(本体)と呼ばれ、潜在的に複雑な構造化されたマルチメディアおよび複数文字セットの添付ファイルをサポートするまでに進化しました。[12]
図2に、ユーザからユーザへの単純な例を示します。メッセージが3つのアドレスに送信されます。アドレスの1つは特別なMUAで、別の2つの受信者にメールを再配送します。この図の目的は、ユーザからユーザへという電子メールの性質を強調するとともに、インターネット・メール・コンポーネントの集合的なやり取りが、非常に単純な使用においてさえももたらす複合的な爆発を検討するための基盤を提供することです。また、さらに別のアーキテクチャ要素も示します。
- メディエータ(Mediator)とは、メーリング・リストのようにメッセージを再配送するMUAのことです。[10] メディエータは、作成者のアドレスを含め、元のメッセージの大部分または全部を維持する一方で、コンテントに大幅な変更を加えたり追加を行ったりできます。これはMTAにはできないことです。したがって、メディエータの役割は、コンテントに対するユーザ・レベルでの責任であり、伝送に関するMTSレベルの責任ではありません。

●図2 複数の受信者がいる単純なシナリオ