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−迷惑メール対策編−
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Outbound Port25 Blockingの意義と今後の迷惑メール対策
・導入の経緯
・導入前の準備
・お客様の反応
・実施した効果
・まとめと今後との取組み/おわりに
携帯電話における迷惑メールとの戦い
逆引きの経験談
■ 5. 実施した効果       

5.1. メールトラヒック

Outbound Port25 Blockingの実施前後のメール流量を計測し、1日平均で比較してみた結果は図1の通りとなりました。

実施前後のメール流量の変化

●図1 実施前後のメール流量の変化

実施前は動的IPアドレスから外部に直接出て行くメールの流量が86%存在しており、実施後にWAKWAKのメールサーバ経由が増えた量を勘案すると、実に83%が迷惑メールだったことになり(具体的な数字は伏せますが)総量では1日あたり数百万セッションに及んでいました。WAKWAKだけでもこの量であるため、ISP全体を合わせれば日本だけでも、単純計算で1日に億単位の迷惑メールが送信されていることになります。

これだけの迷惑メールが送信されている上、最近は日本語の迷惑メールも増加し、かつ、内容も巧妙になってきているため、やはり、迷惑メール対策は受信側だけでなく、送信側の「送らせない」対策も不可欠であると言えます。

5.2. カスタマーサポート部門における迷惑メール対応

当然のことながら、WAKWAK会員に起因する迷惑メール申告が激減したため、カスタマーサポート部門における迷惑メール対応の稼動がそれに応じて激減しました。

迷惑メールの申告が発生した場合、

(1) 申告中のreceivedヘッダなどを解析して、時間と動的IPアドレスを特定する。
(2) 得られた動的IPアドレスなどの情報から迷惑メールを送信した該当者を割り出す。
(3) 該当者に注意喚起する、あるいは、利用停止などの対処を実施する。
(4) 申告者に対しては、不足情報の提示のお願いや、情報提供の御礼などの対応を実施する。

などの手順が必要になり、申告が1件発生するとカスタマーサポート要員はその対応にかなりの時間を消費してしまいます。

特に迷惑メールは一度に大量に送信されるため、送信者1人に対して申告数が膨大になる傾向があります。しかも、動的IPアドレスは時間によって使用者が変わるため、その対応は慎重に実施しなければなりません。これらの作業がなくなることで、カスタマーサポート部門がお客様サポート業務に注力する、本来の体制に戻ることができました。言い方を変えれば、迷惑メール対策にかかるカスタマーサポート部門の費用が善良なお客様に転化される心配がなくなったと言えます。

図2はOutbound Port25 Blockingの実施にかかった費用と、実施前後のカスタマーサポート部門の業務量(費用)の変化をモデル化したものになります。

実施前後のメール流量の変化

●図2 カスタマーサポートにおける効果

Outbound Port25 Blockingの実施には、

・ダイレクトメールの郵送費用
・カスタマーサポート要員の一時的な増員費用
・専用フリーダイヤル回線の一時的な運用費用
・設備の設定と事前検証

等の費用が発生しましたが、実施することでカスタマーサポート部門の業務量が本来の状態に戻り、迷惑メール対応のために要員を確保し続ける必要がなくなる効果の方が大きいことが分かります。

《参考》
その他、Outbound Port25 Blockingを実施する上で事業者が考慮しておきたい事項

  • 自社のお客様の影響範囲の事前検討(契約内容変更時の影響なども含む)
  • 事前事後のデータを取得し、効果を明確にする
  • トラヒックは1社だけで測定するより、複数のISPが協力することで、より詳細なデータを取得できる
  • カスタマーサポート部門の効果は、実施前から長期に渡って細かく分類した統計の蓄積が重要
  • ポートスキャン、掲示板荒らしなどの申告や誤申告との分計を明確にしておく
  • ローミングサービスと直営サービスとの分計などを明確にしておく

 

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